★★ 男性が育児休業をとっていますか ★★
もっと男性が育児休業を取れるようにと育児・介護休業法が改正されます。
■ 重要ポイント ────────────────────────
男性の育児休業取得を促すための法改正があります。
来年4月から順次始まります。規程や社内体制の整備を進めましょう。
■ さまざまな数値目標 ────────────────────────
政府は少子化対策にさまざまな数値目標を定めています。
男性の育児休業取得率の目標は2020年13%、2025年30%ですが、現状は目標に
届かない7.48%(2019年度)です。
■ 雇用環境整備と個別の周知をすることが義務に ──────────────
来年2022年4月1日から以下のことが事業主の義務になります。
(1)育児休業取得のための環境整備
育児休業に係る研修の実施や育児休業に関する相談体制の整備など、育児
休業の申し出が円滑に行われるように雇用環境を整備すること
(2)育児休業取得のための個別働きかけ
従業員や従業員の配偶者が妊娠、出産したことを申し出たとき、育児休業
に関する制度等を知らせ(個別周知)、育児休業の申し出の意向を確認するた
めの面談等を行う(意向確認)こと
■ 出生時育休(男性版産休) ────────────────────────
育児休業は男女とも原則子が1歳(最長2歳)まで育児休業ができ、男性が子ど
もの出生後8週間以内に取得した育児休業については、特別な事情がなくても
再取得できます。
新制度では子の出生後8週間以内に4週間まで現行制度とは別に育児休業を取得
することができるようになります。
休業の申出は原則休業の2週間(現行1か月)前までで、分割して2回取得可能
となります。
また、労使協定を締結している場合に限り、労働者と事業主の合意した範囲内
で、事前に調整したうえで休業中に就業することができるようになります。
施行日は交付後1年6か月以内の政令で定める日(おそらく2022年10月)です。
■ 育休の分割取得 ────────────────────────
現行の制度は原則として育児休業を分割して取得することはできません。
新制度では1歳までの育児休業について2回に分割して取得可能となります。
また、保育所に入所できない等の理由により1歳以降に延長する場合について、
現在は各期間(1歳~1歳半、1歳半から2歳)の初日に限定されているため、各
期間開始時点でしか夫婦交替できませんが、開始日が柔軟化され、各期間途中
でも夫婦交替可能(途中から取得可能)となります。
新制度を利用すると、男性は子の出生後8週間以内に分割して2回、合計4週間
の休業をし、8週間後~1歳の間に分割して2回の育児休業を取得できることに
なります。
施行日は交付後1年6か月以内の政令で定める日(おそらく2022年10月)です。
■ 取得状況の公表の義務付け ──────────────────────
常時雇用する従業員数1,000人超の企業を対象に、毎年少なくとも一回、育児
休業の取得の状況について公表が義務づけられます。
公表は男性の育児休業等の取得率又は育児休業等及び育児目的休暇の取得率で
す。
施行日は2023年4月1日です。
■ 社会保険の取扱い変更 ────────────────────────
月末が育児休業期間中であれば、その月に支払われる給与・賞与に対する社会
保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)が免除されています。
12月の月末に1日だけ育児休業を取得した場合、12月の給与と賞与の社会保険
料が免除されます。
2022年10月1日からは育児休業開始日と終了日が同月で、その月中に2週間以上
の育児休業を取得した場合にも社会保険料が免除されことになります。
また、賞与に対する社会保険料は、1月を超える育児休業を取得している場合
に限り免除の対象となります。
施行日は2022年10月です。
■ 価値観の押し付けにならないように ────────────────────
「うちの会社では流産した妻を持つ社員がいて、妊娠を早めに申し出てもらう
ことには抵抗がある」
このような意見をお聞きしたことがあります。
本人や配偶者の妊娠後、どの段階で申し出をしてもらうか、本人の自由な意
思によるもので強制することはできません。
政府のパンフレットにも「結婚、妊娠・出産、子育ては個人の自由な意思決定
に基づくものであり、個々人の決定に特定の価値観を押し付けたり、プレッシ
ャーを与えたりすることがあってはならないことに十分留意」するよう記載さ
れています。