介護休業を知っていますか

★★ 介護休業を知っていますか ★★

「親の介護や医療機関への付き添いのために、ときどき年次有給休暇をとっ
て休んでいる社員がいる。年次有給休暇がなくなったら、無給の介護休業とい
うことになるのでしょうか?」

介護休業とはどんな制度でしょうか。

 

■ 重要ポイント ────────────────────────

一定の要件に該当する家族介護をする労働者は、介護休業を取得することがで
きます。

介護休業制度を知らないで「職場に迷惑をかけるから」と介護離職する人は少
なくないようですが・・・。

■ そもそも介護休業とは ────────────────────────

育児・介護休業法による介護休業とは、男女を問わず、介護を必要とする家
族を抱えた労働者が、事業主に申し出ることにより、雇用関係を維持したまま、
介護のための休業をすることができるという制度です。

■ 育児・介護休業法の目的 ────────────────────────

育児・介護休業法は「育児や介護を行う労働者の雇用の継続及び再就職の促進
を図り、これらの者の職業生活と家庭生活の両立に寄与すること」を目的とし
ています。

働く女性を福祉の対象とし、職業生活と家庭生活の調和を図ることを目的とし
て1972(昭和47)年、「勤労婦人福祉法」が制定されていましたが、対象はあ
くまでも勤労女性でした。
介護は無業の女性が担い、仕事との両立の問題としては考えられてきませんで
したが、育児・介護休業法は女性を保護するものではありません。

育児・介護休業法は男女を問わず、仕事と生活の調和を支援する法律です。性
別にかかわらず育児や家族介護を行いながらも働き続けることができるように
と制定されたものです。

■ 高齢化で重要性を増す介護休業法 ───────────────────

家族の介護の問題は国民的重要課題となっているとして、25年も前に制定され
た介護休業法ですが、少子・高齢化はその後急速に進み、介護休業の重要性が
増しています。

複数人の要介護者を抱える「多重介護」を行う者も少なくありません。

■ どのようなときに介護休業をとれるのか ────────────────

労働者が、要介護状態(負傷、疾病または身体上若しくは精神上の障害により、
2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある家族を介護する
ために取得できるのが介護休業です。

要介護状態にある家族とは

(1)配偶者、(2)父母、(3)子、(4)配偶者の父母
(5)祖父母、兄弟姉妹または孫(6)上記以外の家族で会社が認めた者です。

■ 介護休業の長さ ────────────────────────

介護休業は、対象家族1人につき、要介護状態に至るごとに1回で、介護休業期
間は対象家族1人につき通算93日まで、3回を限度として、分割して取得するこ
とができます。

介護休業の期間は、自分が介護を行う期間だけでなく、「仕事と介護を両立さ
せるための体制を整えるための期間」として位置付けられています。

■ 介護休暇等 ────────────────────────

要介護状態にある家族の介護や世話をするため、1年に5日(対象家族が2人以
上の場合は10日)まで、介護休暇を取得できます。介護休暇は時間単位でも取
得できるようになっています。送迎のための遅刻や早退時には時間単位の介護
休暇制度は利便性が高いでしょう。

申出をすれば時間外労働は免除され、また介護短時間勤務制度などの制度も利
用することができます。

■ 介護休業には介護休業給付金 ───────────────────

介護休業を取得した期間については雇用保険から賃金月額の67%の介護休業給
付金が支給されます。
育児休業の期間と違い、介護休業期間に社会保険料の免除はありません。

■ 育児と介護の違い ────────────────────────

育児の期間と違い介護休業は時間的な予見が難しいということがあります。介
護の負担は時間がたつにつれ重くなる傾向があります。

育児休業を取得する世代は20~30代であることが多いですが、介護休業は40~
50代の世代で管理職についているケースが多いことが特徴です。

最近では晩婚化・晩産化を背景に育児と介護が重なる「ダブルケア」の問題も
起きています。また介護は遠距離である可能性もあり、時間的、経済的負担が
大きい場合も考えられます。

■ 小さな会社なので介護休業はない? ───────────────────

要件を満たした労働者が申し出た場合、事業主は介護休業の申し出を拒むこと
はできません。(付与するのは大変ですが・・・)

■ 介護したい家族と別居しているが? ────────────────────

対象家族については別居でもよく、扶養しているかどうかも問われません。

■ 介護休業を申し出た後仕事に復帰できるか不安ですが?────────────

介護休業を理由として解雇や減給、不利益な配置変更をすることは法律で禁止
されています。

■ 制度の周知を ────────────────────────

介護をしている労働者が退職するようなことになれば、会社にとって大きな損
失です。
育児や介護は私的な問題ではない、社会全体でサポートしようというのが育
児・介護休業法です。
家族介護は誰にも起こりうること、介護休業は権利として取得できることなど、
きちんと周知することがますます求められています。