男性の育休でもらえる助成金の変更

★★ 男性の育休でもらえる助成金の変更 ★★
「3月31日から1か月くらいの育児休業を取得したいという男性社員がいます。
育児休業給付金の手続きをお願いします。助成金はどうでしょうか。」

1か月も休むなら助成金がもらえる?・・・今年度から改正がありました。

■ 重要ポイント ────────────────────────

年度が改まると助成金の見直しが必ずありますが、今年度は子どもが生まれ
て育児のために休みを取る男性に支給されていた助成金は、大変もらいにくく
なりました。

■ 男性の育児休業でもらえた助成金 ───────────────────

2021年度まで、男性労働者に育児休業を取得させた事業主に助成金が支給され
ていました。(両立支援助成金 出生時両立支援コース)

中小企業の男性労働者が、5日以上の育児休業を初めて取得した場合に57万円、
二人目の男性労働者が1か月以上の育休を取得すると33万円ほどの助成額です。

生産性要件に該当するとさらに加算された助成金が受給できました。

 

■ 要件の大きな変化と助成金額の減額 ───────────────────

新年度も同じ名前の両立支援等助成金出生時両立支援コース(子育てパパ支援
助成金)はありますが、内容は大きく変わりました。

【変更点】

1 中小企業事業主のみが対象となった

2 育児・介護休業法に定める雇用環境整備の措置を複数行っていなければな
らない

3 育児休業取得者の業務を代替する労働者の、業務見直しに係る規定等を策
定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていなければならない

4 支給額は原則20万円となり、生産性要件該当時の加算もなくなった

男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得
していなければならないということについては変更ありません。

単に休業をした実績だけではなく、男性労働者が育児休業を取得しやすいよう
に具体的な環境を整えることが求められるものとなりました。

■ 雇用環境整備の措置 ────────────────────────

育児・介護休業法に規定する雇用環境整備に関する措置とは次のいずれかをい
います。

イ 雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施

ロ 育児休業に関する相談体制の整備

ハ 雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集及び当該事例の提供

ニ 雇用する労働者に対する育児休業に関する制度及び育児休業の取得の促進
に関する方針の周知

上記のうち2つ以上の措置を行っていることが助成金の要件です。

申請に当たっては実施したことがわかる次のような書類が求められます。

イの例:研修の開催案内、研修の実施要項等

ロの例:相談窓口の設置に関する案内、周知資料等

ハの例:事例を掲載した書類等

ニの例:周知資料

■ 業務見直しに係る規定の作成 ──────────────────────

業務見直しに係る規定の作成という要件は、今まで全くなかったものですし、
育児・介護休業法が求めるものでもありません。

「労使で合意された育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務に直しに係
る規定等を策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていること。当該規
定の策定は、育児休業取得者の育児休業の開始日の前日までに行っていること。
当該規定等には、育児休業取得者の業務の整理、引継ぎに関する事項が含まれ
ていること。」(支給要領より)

■ 改正の背景 ────────────────────────

2022年4月1日からと10月1日からの2回にわたって育児・介護休業法の改正があ
ります。

法改正により、しなければならないことが増えたのですから助成金の要件が厳
しくなったのはやむを得ないと考えられます。

■ 経過措置 ────────────────────────

改正に当たり、令和4年5月31日までは経過措置の適用があるようですので、育
児休業の取得実績を確認して間違いのないようにしたいと思います。