パート・有期雇用労働者への労働条件通知に注意

★★ パート・有期雇用労働者への労働条件通知に注意 ★★

■ 重要ポイント ────────────────────────

パートタイマー(短時間労働者)や有期雇用労働者を雇用するときは、労働条
件を示すときに正社員の雇用以上に気をつけなければならないことがあります。

■ 労働条件の明示 ────────────────────────

給与や労働時間、休日などの大事な労働条件については、労働契約をするとき
に、使用者は労働者に明示しなければなりません。(労基法第15条1項)

もしその労働条件が事実と相違するのであれば、労働者は、即時に労働契約を
解除することができます。(労基法第15条2項)

■ 労働条件の明示の内容 ────────────────────────

労働条件には福利厚生や休暇、賞与などいろいろありますが、必ず明示しなけ
ればならない事項は以下です。

(1)労働契約の期間

(2)有期契約であれば更新する場合の基準

(3)就業の場所・従事する業務の内容

(4)始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、
休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項

(5)賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切及び支払いの時期

(6)退職に関する事項(解雇の事由を含む)

■ パートタイマー・有期雇用の場合に加えること ───────────────

パートタイマー(短時間労働者)と有期雇用労働者については労基法の明示
事項に加え、次の事項も明示しなければなりません。

(パート・有期労働法第6条)

(1) 昇給の有無

(2) 退職手当の有無

(3) 賞与の有無

(4) 相談窓口

 

■ 相談窓口とは ────────────────────────

雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口相談窓口をもうけ、パートタイ
マーや有期雇用労働者からの苦情を含めた相談を受け付ける際の受付先を労働
契約締結にあたり明示します。

パート・有期労働法は2020年4月から(中小企業は2021年4月から)施行されて
います。

パートタイマー・有期雇用労働者対応の「相談窓口」を設置し、待遇について
の疑問や不明点の問い合わせに応じていることを掲示等により知らせる方法も
あります。

■ 明示の方法 ────────────────────────

労働条件の明示は原則として書面交付ですが、労働者が希望する場合に限り、
次の方法も認められています。

(1) ファクシミリの送信

(2) 電子メール等の送信

■ 社会保険・雇用保険の加入の有無も明示をすべき ──────────────

法律で定められた事項ではありませんが、社会保険の加入も明示すべきです。

社会保険は適用が拡大されていて、短時間労働者にも適用される場合があります。

加入基準を明確にして、社保加入でトラブルにならないようにしたいものです。

また、雇用保険の適用の要件についても正確に理解していないケースも見受けられま
す。雇用保険料率も上がりました。

加入要件に該当するのであれば、雇用保険制度についても説明し、適正な手続きをと
るべきでしょう。

■ まとめ ────────────────────────

パートタイマー・有期雇用労働者の労働条件の明示は慎重に内容を確認して行
いましょう。

待遇についての疑問や不明点に対応ができる相談窓口も整備しましょう。