労働者代表のあり方は

★★  労働者代表者のあり方は?  ★★

■ 重要ポイント────────────────────────

日本独自の制度である労働者代表制度。

労働組合がない場合の代わりの制度として考えられたもの。組合のない会社にとって法律
上重要な労働者代表。そのあり方について議論が進んでいる。

■ 過半数代表者が必要なとき ────────────────────────

時間外労働・休日労働を使用者が命じるときには、労働者の過半数で組織する労働組合
と労使協定を結ぶことが求められています。そのような組合がない場合は労働者の過半数
を代表する者との書面による協定を作成して行政官庁に届け出なければなりません。

作成しないと法令違反となってしまうのです。

■ 労使協定の役割 ────────────────────────

法定の労働時間は1週40時間、1日8時間で、法定の休日は1週間に1日です。

労使協定を結ぶことによってその範囲内の時間の中で時間外・休日労働が許容されること
になります。

労使協定によって労基法その他の法令の規制が緩和されたり、罰則を免れたりするので
す。

 

この労使協定について議論されています。

以下は「労働基準関係法制研究会報告書」を参考にまとめました。

■ 過半数代表制の課題 ────────────────────────

大きな課題は以下です。

・過半数代表者の選出が、事業場において適正に行われていない場合がある。

・過半数代表者の役割を果たすことは労働者にとって負担であり、役割を果たすことが難
しい場合が多い。

結果として使用者から提示された労使協定の案について全労働者の代表として意見を集
約して十分な議論を行うことなく協定を締結するだけになっている場合がある。

 

■ 1 過半数労働者の選出手続き ────────────────────────

過半数代表者を選出する手続きには選挙や信任投票等が考えられるが、使用者がある程
度関与せざるを得ないのが実情である。労働基準法施行規則では使用者の意向に基づき選
出されたものでないことが過半数労働者の要件として規定されているものの、具体的な内
容は定められていない。

過半数代表の意義や役割、選出手続、適正な選出の必要性、労働者の意見集約の手法等
について知識を得る教育・研修の機会があることが求められる。

■ 2 使用者による情報提供や便宜供与 ────────────────────────

例えば36協定を締結するためには、過半数労働者が事業場の平均時間外労働時間数、
最長時間外労働時間数、時間外労働が必要となる業務内容についての情報を得て、具体的
に協定内容の是非を判断できることが必要である。

過半数代表者としての活動には相応の時間を要することから労働時間の中で活動するこ
とへの一定の補償を検討すること、通信機器等を便宜供与すること、過半数労働者である
ことを理由とした解雇・異動等の不利益取り扱いを明確化することなどが求められる。

■ 3 過半数代表者への相談支援 ────────────────────────

行政機関は、過半数代表者等に対し、相談体制の整備や相談窓口の周知が求められる。

■ 4 過半数代表者の人数 ────────────────────────

過半数代表者は多くの場合1名が選出されているが、人数についての法令上の規定はな
い。複数人選出の場合の手続きや、相談することのできる補助者を置くことも考えられる。

■ 5 過半数代表者の任期 ────────────────────────

現行法においては、過半数代表者は原則として手続きごとにその都度選出されるが、任
期を定めて選出することは否定されていない。

任期を定める意義は、過半数代表者として役割を担う期間が明確化され、継続的な労使
コミュニケーションを行うことが可能となるが、その任期の長さや権限を持つ手続きの範
囲等について整理・周知が必要である。

 

■ 6 労働基準法における規定の整備 ──────────────────────

労働基準法には、過半数代表の選出手続きなどについて法律における明確な委任がない。

今後は、労働基準法において「過半数代表」「過半数労働組合」「過半数代表者」の法律
上の位置付け、役割、過半数代表者に対する使用者からの関与や支援等を明確に定める規
程を設ける法改正を行うことが必要と考える。

ここまでは「労働基準関係法制研究会報告書」より

■ さまざまな労使協定 ────────────────────────

行政官庁への届出が必要な労使協定は、時間外・休日労働に関する協定のほか、1年単位
の変形労働時間制の協定や専門業務型の裁量労働制に関する協定などがあります。

届け出が不要な労働基準法関係の労使協定もあります。

また、育児介護休業法では労使協定により、育児休業や介護休業の適用除外、出生時育
児休業の適用除外、子の看護等休暇・介護休暇の適用を除外することができます。

労働者派遣法法では派遣労働者の待遇決定協定において派遣労働者の待遇について、派遣
均衡・均等方式の除外ができます。

労働者代表の役割は重く様々なものがあります。

研究会報告に注目していきたいと思います。