年金はもらえるの?

「年金はもらえるんですか?」

 ある会社で、社会保険の仕組みについて話をしていたとき、20代の男性から、こんな質問がありました。

 

 「もらえるとは思います。ただ、年金額は期待できる額ではなく、もらえる年齢も70歳くらいになっているかもしれません。」

 重要ポイント

 年金はもらえるけれど、制度は変わりつつあります。

 2060年の人口構成

 20歳になろうとする若者が65歳(今の老齢基礎年金がもらえる年齢)になる、今から46年後が2060年です。
  平均寿命は今男性79.64歳が84.19歳に、女性86.39歳が90.93歳になると予想されています。
 総人口は現在1億2800万人ですが、その頃になると8600万人に減り、そのうち、60歳以上の高齢者が46%をしめるようになると推計されています。日本は、世界に例のない、少子高齢社会になっているのです。
 15歳から59歳の労働力人口は現在70%ですが、2060年には38%に減るのです。

 今の水準で厚生年金額を出してみると

 40年のサラリーマン人生の平均的な年収が400万円だったと仮定して、老齢厚生年金を試算してみましょう。
 400万円としたのは国税庁の平成24年(2012年)民間給与実態調査の平均給与データが408万円だからです。

 老齢厚生年金の計算

 賞与を含めた年収を12で割って平均標準報酬額(平均標準報酬月額ではない)を出し、年齢により国が定めた乗率を掛け、厚生年金に加入していた月数を掛けると老齢厚生年金額が計算できます。
 400万円÷12×5.481÷1000×480ですので、約87万円になります(物価変動なし、400万円が40年間の平均年収という大胆な仮定です)。
 5.481という数字は生年月日に応じて定められた年金額計算の率で、この数字は昭和21年(1946年)4月2日以降生まれの人すべてに適用されるものです。この昭和21年4月2日より前に生まれた人は1年ごとに年齢に応じ少しずつ高い乗率が決められています。

 老齢基礎年金の額は

 老齢基礎年金は平成16年(2004年)の法改正で、780,900円と決まりました。
 その後は賃金と物価の変動に応じて毎年、自動的に年金改定率をかけて改定されることになりました。年金改定率は1を下回っていて、約76万円です。
 この若者がこの仮定の下に65歳になると、87万円の老齢厚生年金と76万円の老齢基礎年金がもらえることになります。

 いったいいくら掛けるのか

 ではいったい保険料はどのくらい払うのでしょうか。
 厚生年金の保険料率は現在17.12%ですが、平成29年(2017年)18.3%まで上がることが決まっています。平成16年(2004年)の年金改正時点では、最終保険料率は18.3%(本人9.15%、事業主9.15%)と決められました。
 最終保険料率で、この若者が払う厚生年金保険料を試算してみましょう。
 400万円×9.15÷100×40=1464万円
 本人は40年でこの保険料を負担、同額を事業主が負担します。65歳になってもらえる老齢厚生年金額は87万円(年額)です。
 たったこれだけ?ですけれども、65歳から先男性は20年、女性は25年長生きするという推計値を考えると、国の財政は苦しいだろうことも想像できます。

 60歳台前半の年金はいずれなくなる

 今年度、平成25年(2014年)の4月から、男性は60歳になっても1円も年金が受給できなくなりました。
 60歳台前半の年金は特別に支給するもので、本来は65歳からとされているのですが、少しずつ受給開始年齢を引き上げる、大きな節目の時期を迎えたのです。
 60歳で年金がもらえないという男性の生年月日は昭和28年(1953年)4月2日以降生まれです。この年齢の男性は61歳になるまで1年間年金がもらえませんが、昭和30年(1955年)4月2日以降生まれの男性は62歳になるまで年金がもらえません。生年月日に応じ、受給開始年齢が上がるしくみなのです。
 男女ともに65歳までまったく年金はもらえなくなるという形がゴールです。特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢は男女で差がありますが、平等に65歳になります。

 65歳支給は維持できるか

 では現在の65歳支給はこのまま維持できるでしょうか。
 日本の65歳以上の人口割合は現在23%程度ですが、2020年をすぎると30%となり、2060年には39%となります。
 2060年65歳以上の人口割合は、イギリスが25%、ドイツ30%の予想ですが、年金支給開始年齢はすでにイギリス68歳、ドイツ67歳となっています。
 平均寿命はイギリス男性77.4歳、女性81.6歳、ドイツ男性77.1歳、女性82.4歳ですから両国に比べ、男性で2歳以上、女性で4歳ほど寿命の長い日本で、年金支給開始年齢は65歳と早いのです。
 主要国に類がないほどに高齢者ばかりとなる日本、平均寿命は世界最高水準で、年金開始年齢は主要国より早いという現行の制度、このまま続けられるかは大きな疑問です。

 遺族年金はどうなるか…男女差解消へ

 年金制度では男性より女性が優遇されるのが当たり前、古い制度を引きずっているからと思っていましたが、遺族基礎年金の支給要件の男女差が解消されようとしています(平成26年4月から)。
 遺族基礎年金が、父子家庭に支給されるようになります。
 国民年金に加入していた配偶者が亡くなったとき、現行では子のある妻又は子に遺族基礎年金が支給されますが、改正後は国民年金に加入していた配偶者(妻)が亡くなった場合に、子のある夫にも遺族基礎年金が支給されるようになるのです。
 保険料負担をしていなかった国民年金の第3号の被保険者であった妻が亡くなった場合でも、生計を同じくしていて年収850万円以上の収入を将来にわたって有しないのであれば、子のある夫に遺族年金が支給されるようになります。

 年金はもらえるか

 ハイもらえます。けれども、保険料負担は増し、給付額は少なく、支給開始年齢も繰り上がるでしょう。遺族年金も大きく変わって(もしかして無くなる?)いくでしょう。

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【 社員のうつ病 対策セミナー 】  2月21日

 「就業規則の時代に合わせての見直し、雇用契約書の重要性を認識しました」
 「弊社が今直面している実情とセミナーの研修内容があっていて、わかりやすく参考になった」

 セミナー後 参加者からいただいた感想です。
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 健康問題はますます重要になると思われます。