女性活躍推進法って何?

 女性活躍推進法の行動計画を4月1日までに労働局に届け出た企業が71.5%と報さ道れました。従業員数301人以上の企業は行動計画の策定が義務付けられたのです。


 中小企業(300人以下)は義務ではありませんが、努力義務が課されています。
 いったいどんな法律なのでしょうか。

重要ポイント

 日本の女性の働き方の典型は、出産前は正社員で、子育て後はパート就労。
 職業生活で女性が十分な能力を発揮しているとはいえない現状です。
 女性活躍推進法は数値目標を立て具体的な行動を起こすように求めています。

日本の女性の雇用はМ字型

 日本の女性の働き方は、正規社員の形態では20代後半がピークです。30代後半に就業率が上昇しますが、パート・アルバイト等の非正規雇用が主となっています。女性は出産子育てが就労のハードルと考えられますが、諸外国ではそうではありません。
 管理職に占める女性の割合は、11.3%で、日本は国際的にも特に低い水準となっています。
 男女雇用機会均等法(昭和61年)ができて30年以上、男女共同参画社会基本法(平成11年)もあるのに、女性の活躍において日本は遅れています。

男女で違う就労の実態

 管理職に占める女性の割合は、大企業ほど低く、また、女性の従業員の割合も大企業ほど低い現状となっています。(厚生労働省賃金構造基本統計調査ほか)
 教育訓練の受講率でみると女性は男性より低く、上司は女性部下に比べて男性部下に高い目標を与える傾向があります。

出産と継続就業

 約6割の女性が第1子出産を機に退職しています。総合職の女性は採用されて10年が経過すると65%が離職しています。
 近年正社員を中心に育児休業をして継続就業する女性の割合は高まっていますが、平均勤続年数は男性13.3年、女性9.1年と差があります。

男性の家事時間

 6歳未満児のいる夫の家事・育児関連時間(1 日当たり)の国際比較で、ドイツ、スウェーデン、ノルウェーは3時間以上ですが、日本は1時間余と極端に短くなっています。平日の夫の家事・育児時間が4時間以上の家庭の妻の就業継続割合が74%であるのに対し、家事・育児時間なしの夫の場合、妻の就業継続割合は46%と下がっています。

特に男性の長時間労働が日本の特徴

 長時間労働者の割合を国際比較したデータでは、日本の男性雇用者の長時間労働者の割合の高さは突出しています。
 日本の男性正社員の17%が週60時間以上働いています。配偶者がいて18歳未満の子がいる男女が家事にかける週間平均時間は、日本の男性が12.0 時間、女性は53.7 時間(分担率18.3%)で世界最低水準です。(スウェーデン42.7%をはじめ40%程度の国が多い)
男性の長時間労働が家事・育児への参加を妨げ、女性の継続就業を難しくし、職業生活における活躍の機会を狭くしているといえます。

女性が活躍できない理由

 職場で女性が活躍できない理由として国は以下のことをあげています。(女性活躍推進法
参考資料より)

① そもそも女性の採用比率が低い。(36.6%の企業は女性採用なし)
② 女性の教育訓練をしていない。
         (営業や生産の部門では7割の企業で男性9割以上)
③ 妊娠出産後、勤務時間が合わない、職場の支援がないなどを理由に
       子育てと両立できずに仕事を辞めている。
④ 仕事と家庭の両立が難しく管理職に昇進したいと思わない。

職業生活における活躍の推進に関する法律

 女性活躍推進法の正式な名前は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」。女性の活躍を迅速かつ重点的に推進し、豊かで活力ある社会を実現することを目的として制定されました。
 職業生活において、女性が個性と能力を十分に発揮できるよう、国、地方公共団体、民間事業主(一般事業主)のそれぞれに女性の活躍推進に関する責務が定められています。
 平成27年8月28日に成立し、平成28年4月1日から一般事業主に関する部分が施行されています。

301人以上の企業の義務

 大企業(301人以上)は平成28年3月31日までに以下ことが義務付けられました。
① 自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析
 女性採用比率、勤続年数男女差、労働時間の状況、女性管理職比率の数字を出します。
② 状況把握・課題分析を踏まえた行動計画の策定・届出・公表
 定量的な目標を定め、実施時期、計画期間、取組内容を定めます。

 行動計画を策定したら都道府県労働局に届け出をして、労働者に周知を図り、ホームページなどで外部にも公表します。

女性活躍企業の認定 【えるぼし】

 女性が活躍していることが客観的な指標で認定された場合、認定マーク【えるぼし】を使用し、女性活躍推進事業主であることをアピールすることができます。


 認定基準は
・ 男女別の採用者数と応募者数が同程度であること
・ 女性の継続就業状態が一定程度以上であること
・ 時間外労働が多すぎないこと
・ 女性管理職比率が産業ごとの平均値以上であること
・ 非正規社員から正社員への転換制度があり実績があること
などです。

女性活躍加速化助成金

 300人以下の企業は女性活躍推進の取組が義務ではありませんが、取組を進めると助成金(30万円)が受給できます。

まとめ

 正社員の配偶者であって扶養家族でいる働き方に税法上・社会保険上のメリットがある中、働き方に変化が起きるでしょうか。

そ の 他 の 記 事

 ト ピ ッ ク ス   熊本地震と雇用調整助成金   厚労省4月22日発表

 厚生労働省では、平成28年熊本地震にともない、事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用調整を行わざるを得ない事業主に、雇用調整助成金が受けやすくなるような特例措置を講ずることとしました。
 地震に伴う経済上の理由により、休業を余儀なくされた事業所の事業主が、労働者に休業についての手当てを支払えば、休業手当相当額の2/3が助成されます。
<現行の支給要件>
 生産量、販売量、売上高などの事業活動を示す指標の最近 3か月 間の月平均値が、前年同期に比べ10%以上減少している事業所であること。
<特例措置後の支給要件>
 生産量、販売量、売上高などの事業活動を示す指標の最近 1か月 間の月平均値が、前年同期に比べ10%以上減少している事業所であること。 助成金が生かされるでしょうか?

 年金あれこれ    ~被扶養者の範囲~ 

 健康保険の被扶養者となれる範囲は配偶者や子、孫のほか3親等以内の親族も含まれます。
 兄弟姉妹や、祖父母、曾祖父母、叔父叔母等も対象です。
 兄・姉については現在同居を要件として被扶養者となれますが、平成28年10月より、兄・姉の同居要件が撤廃されます。(現在は弟・妹については同居でも別居でも被扶養者となれますが、兄・姉については同居でないと被扶養者になれません)

 【スタッフからひとこと】  傷病手当金の医師の証明欄

 従業員が病気をして休み無給のときは健康保険の傷病手当金の請求ができます。
 会社を休んだ証明を事業主が書くと同時に労務不能の期間について医師の証明をもらいます。いつからいつまで何日間と記入してもらいます。1日から10日までと書いてあっても10日間と書いてない場合、暦日で10日でも1日働けたのでは?と疑われ、書類が不備となります。
 医師の証明?があっても記載内容にもれがないか確認を忘れずに。

 【 キャリアアップ助成金・・・人材育成コース 大きく変わっています 】
                 相談から  業務日誌4月○日

 「経験のない若者を有期契約で雇ったのですが、助成金はもらえるでしょうか」
 「ハイ、キャリアアップ助成金の人材育成コース、正社員化コースの可能性があります」

 この4月から人材育成コースの書式が大きく変わっています。
 まず、訓練に値する人かどうかの資料となるジョブ・カードの様式が変わりました。訓練計画届の添付書類として、キャリアコンサルティングを実施した証明のあるジョブ・カードと訓練カリキュラムが必要です。
 今までの訓練カリキュラムに加え、訓練期間(3~6カ月)の月ごとの訓練時間数がわかる訓練計画予定表の作成も求められます。
 訓練の実施に当たっては今までも記録が求められていましたが、「訓練受講者が、毎日、手書きで具体的に記入」することが求められるように変わっていますから、そのことを意識して訓練カリキュラムと訓練計画予定表を作成しておくことが重要です。訓練開始日の前日の1カ月前までにする訓練計画届の提出も厳格に守らなければならなくなりました。最新の改定情報に気をつけないと・・・。