★★ アルバイトの雇い方 ★★
「これから繁忙期なので、4カ月くらいの期間、アルバイトを雇おうと思い
ます。どんなことに気をつければよいでしょう。」
1日の労働時間は8時間の人や短時間の人など様々な形態を考えているとか。
アルバイトも労働者。労働関係法令の適用があります。また、労働時間や雇
用契約期間により入らなければならない社会保険に違いがあったりします。
重要ポイント
短期のアルバイトとも雇用契約書を交わしましょう。労働時間によっては入ら
なければならない保険もあります。
最低賃金が来月10月から上がることにも注意を。
時間当たりの賃金を決めるとき
短期アルバイトでも、最低賃金は守らなければなりません。
最低賃金は都道府県ごとに決められていて、毎年変更があります。
新潟県の最低賃金は現在1時間753円ですが、平成29年10月1日からは25円上が
って778円になることが決まっています。
平成26年の改定で715円、平成27年には731円とここ数年、引き上げが著しいで
す。
通勤手当は支払うべきか
通勤手当を支払うかどうかは会社の自由です。短い期間の雇用契約であれ
ば、通勤手当なしで雇用契約しても問題はないと思います。
ただ、同一労働同一賃金ガイドライン案(平成28年12月20日)では、通勤
手当について「有期雇用労働者又はパートタイム労働者にも、無期雇用フルタ
イム労働者と同一の支給をしなければならない。」となっています。(ガイド
ラインは法律ではありませんが・・・)
業務災害と補償
アルバイトも労働者ですから、労働基準法が適用されます。
労働基準法では使用者に、労働者が業務中にケガをしたり、業務が原因で病気
になったりしたとき療養の費用の負担や、休業時の補償など様々な労働者保護
を求めています。
使用者は労災保険に加入することで、この業務災害の実質的な補償をして
います。
アルバイトも当然労災保険に加入しますが、本人からの費用負担はありま
せん。労災保険には加入したという手続きは不要です。
会社は、労働保険料の申告のときにアルバイトの賃金ももれなく集計して労災
保険料率を掛けて保険料を申告することになります。
雇用保険の加入
アルバイトを雇用保険に入れるかどうか、雇用保険の加入には労働時間の
要件があります。
アルバイトの呼称で働く人も、次の場合は雇用保険の加入手続きが必要で
す。
(1)1週間の所定労働時間が20時間以上であること
(2)31日以上の雇用見込みであること
ただし、昼間の大学の学生は雇用保険の被保険者にはなれません。
もし10月1日から11月30日までの期間を定め、1日5時間で週4日という労働
条件の契約であれば、雇用保険に加入しなければなりません。2カ月だけの雇
用保険の加入に対して、退職後、求職者給付等の給を受けることはできません。
65歳以上の方の雇用保険の加入
平成29年1月1日から雇用保険の加入対象者が広がっています。65歳以上の方も
上記の加入要件を満たすと雇用保険に加入となり、手続きが必要となっていま
す。保険料の徴収はありません。平成31年度までは免除となります。
65歳以上に広がった雇用保険の加入、年齢に上限は設けられていません。
社会保険の加入は
社会保険は、「常用的使用関係にある人」が加入となります。
以下の4つのケース以外は、常用的関係とされます。
(1)日々雇い入れられる人
(2)2カ月以内の期間を定めて使用される人
(3)季節的業務(4カ月以内)に使用される人
(4)臨時的事業の事業所(6カ月以内)に使用される人
もしフルタイム勤務ではなく、1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日
数が、4分の3未満であれば被保険者となりません。1週間29時間で月15日勤務
(週40時間で月の所定労働日数が21日のフルタイマーの会社の場合)であれば、
加入となりません。
18歳未満の場合
高校生など18歳未満の若者をアルバイト雇用する時も注意が必要です。
18歳未満の者については「年少者」として労働基準法は特別な保護を求めてい
ます。
年少者には変形労働時間制を適用したり、残業や休日労働をさせたりしてはい
けません。深夜に働かせることもできません。
また、年少者を使用する場合には年齢証明書を事業場に備え付けておかなけれ
ばなりません。
雇用契約書の締結
パートタイム労働法(パートタイム労働者とは1週間の所定労働時間が同
一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労
働者のこと。アルバイトの呼称も含まれる)では、公正な待遇や、納得して働
けるようにすることを事業主に求めています。
労働条件について、労働基準法で書面明示が求められていることは以下です。
(1)契約期間の定めの有無。有のばあいはその期間
(2)就業の場所
(3)従事すべき業務の内容
(4)始業、終業の時刻、休憩時間
(5)休日、休暇
(6)賃金
(7)退職に関する事項
パートタイム労働法では上記に加えて、昇給、賞与、退職金の有無の記載を求
めています。さらに雇用管理の改善等に関する事項にかかる相談窓口を設置し、
担当部署を雇用契約書に明記することも求めています。
きちんと説明を
アルバイトの採用に当たっては雇用契約書を作成し、十分な説明をしましょう。
所定の労働時間を上回る時間外労働の有無や割増賃金の計算方法、社会保険・
雇用保険の有無も確認しておくべき重要なことです。社会保険加入の場合は手
取り額についてもあらかじめ説明したほうがよいでしょう。