★★ 年休を付与していますか? ★★
年次有給休暇の取得率が日本は低いといわれています。
ご自分の会社の年休取得率はお分かりでしょうか?
法改正で事業主には「年次有給休暇の付与」が「義務」となる予定です。
■ 重要ポイント
労働基準法の改正で、年次有給休暇を付与することが使用者の義務となる。
年休は労働者のほうから指定、使用者は付与しなければならないもの。
バラバラに指定されて困らないよう、対策が求められる。
■ 年次有給休暇の取得率とは
年次有給休暇は働く人の大切な権利です。
年次有給休暇の取得率は近年10数年間5割を下回っています。
「取得率」は、「全取得日数/全付与日数×100%」で、付与日数には、繰越
日数を含みません。
5割を切るという調査の対象労働者は、常用労働者からパートタイム労働者を
除いています。(厚生労働省 就労条件総合調査)
■ 欧米諸国の年休の考え方
欧米で年休は労働者の最も重要な権利の一つで、よほどのことがない限り年休
を残すことはないといいます。
また年休は連続取得が原則で、EU(欧州連合)の労働時間指令では、最低4週間
の年次有給休暇を付与することとなっています。
イタリアでは憲法が、年次有給休暇を放棄できない権利と規定しています。
欧州では法律や労働協約により病気休暇が有給で保障されていることが多いこ
とも日本とは異なっています。
■ 継続取得が難しい日本
「使用者は、その雇い入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割
以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与
えなければならない。」労働基準法39条
年次有給休暇の取得には、8割出勤の要件があり、継続して取得することと分
割して取得すること、どちらも認められています。
立法当時、分割取得を認めたことに対し、「一定期間継続的に心身の休養を計
るという年次有給休暇制度本来の趣旨は著しく没却される」という意見もあっ
たといいます。
8割出勤を要件とし、勤続年数が増えると年休日数が増加するようなルールは
諸外国にないものです。これも立法当時、労働者の労働意欲が減退していた状
況を考慮し、できたと規定といわれています。
■ 年次有給休暇と労働者
年次有給休暇は要件を満たした場合、法律上当然に生じる権利で、使用者はこ
れを与える義務を負うものです。
所定労働日の少ない又は所定労働時間が短い労働者にも比例的に年休を付与す
ることが定められています。
年次有給休暇を取得したことによる不利益な取り扱いは禁止されていますし、
買取も禁止されています。
■ 年休取得率アップが求められています!
過重労働で健康を損なうようなことをなくすため、年次有給休暇の取得率アッ
プは長年の課題でした。
これから国会審議となり、2019年4月に改正が予定されている改正労基法では、
年5日の年休付与義務が使用者に課せられます。
年次有給休暇を使わずに出勤しているマジメな社員がいると、使用者は労基法
に違反していることになってしまいます。
年次有給休暇についての考え方を改める必要がありそうです。