変わる人事労務手続あれこれ2018年4月から

★★ 変わる人事労務手続あれこれ ★★

■ 重要ポイント ────────────────────────

4月から社会保険の手続き関係や、助成金の内容がいろいろ変わります。

変更情報に気をつけましょう。

■ 雇用保険の離職理由の変更 ─────────────────────

労働契約法が改正され、平成25年4月1日以降有期契約を繰り返して5年を超え
た労働者は、使用者に契約を無期にするよう申し込むことができます。平成30
年4月1日から、無期転換申込み権が発生します。使用者はこの申込みを拒否で
きません。1年間の契約であれば、申込期間は平成30年4月1日から平成31年3
月31日です。申し込みをすると平成31年4月1日からの契約が無期になります。

この法改正に伴い、離職票の離職理由の書き方で気を付ける必要があります。

注意が必要なのは、有期雇用労働者を雇用している事業所で、平成30年2月5日以
降の有期労働契約の更新上限到来による離職の場合です。

採用当初はなかった契約更新上限がその後追加されたり、不更新条項が追加さ
れたりした方については、「特定受給資格者」または「特定理由離職者」に該
当することがあるようになるというものです。「特定受給資格者」または「特
定理由離職者」は給付日数で有利になります。

■ 労災保険率の改正 ────────────────────────

労災保険率は過去3年間の災害率等を考慮して、改正されます。今年度は見直
しの年に当たり、全54業種平均で0.2/1000の引き下げとなります。

たとえば、建築事業の現行の料率11/1000は改定後9.5/1000、既設建築物設備
工事業は15/1000が12/1000に引き下げられます。

■ 社会保険料の変更 ────────────────────────

健康保険料率、介護保険料率は3月分(4月納付)から変更になります。

新潟県の協会けんぽの健康保険料率は0.06%下がり9.63%になります。

介護保険料率は全国一律で0.08%下がり、1.57%に改定になります。

国民年金のひと月の保険料は、平成30年度は「16,340円」になります。
平成29年度は16,490円でしたので、「150円」安くなります。

■ 手続き書式の変更(3月5日から) ───────────────────

社会保険の届け出様式が3月5日から変更(様式統合、マイナンバー覧追加、A4
縦版化等)となっています。

■ 海外に住む家族の扶養認定手続きの厳格化 ───────────────

海外に在住し、日本国内に住所を有しない家族を健康保険の扶養認定する場合、
平成30年3月26日から「健康保険被扶養者(異動)届」に次の添付書類が必要
となりました。

(1)現況申立書(続柄、収入や仕送り状況を記載する)

(2)身分関係の確認書類(続柄が確認できる公的証明書)

(3)生計維持関係の確認書類
(扶養される方の収入状況のわかる書類と被保険者から扶養される方
への仕送り額等がわかるもの)

■ 社会保険の現物給与の価額の改定 ───────────────────

社会保険料を算定するときの「現物給与」の食事の価格が変更になります。

給与は、金銭で支給されるのが一般的ですが、住宅(社宅や寮など)の貸与、
食事などで支給するものを現物給与といいます。食事を提供している会社は改
定にご注意ください。

■ 障害者の法定雇用率の引き上げ ────────────────────

事業主には、障害者がごく普通に地域で暮らし、地域の一員として共に生活で
きる「共生社会」実現の理念の下、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する
義務が課されています。

民間企業の法定雇用率は2.0%から2.2%に上がります。
(平成30年4月1日以降)

これは今まで従業員が50人以上で1人の雇用義務でしたが、45.5人以上の事業
主が該当となります。

該当の事業主は

・毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければな
りません。

・障害者の雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」を選任
するよう努めなければなりません。

なお、平成33年4月までに民間企業の法定雇用率はさらに上がり、2.3%になる
ことが決まっています。

■ キャリアアップ助成金の正社員化コースの変更 ──────────────

有期契約労働者が正規雇用等へ転換した時に、受給できる助成金ですが、賃金
の要件が追加されます。

転換前の6か月と転換後の6か月の賃金を比較して5%以上増額していなければ
ならなくなります。この賃金に賞与は含んでよいことになっていますが、時間
外労働手当、休日手当は除かれます。

なお、4月1日以降に転換等した場合に適用ですから、3月中の転換は改正前の
要件が適用されます。

■ 人材確保等支援助成金の創設 ─────────────────────

職場定着支援助成金、人事評価改善等助成金及び建設労働者確保育成助成金を
整理統合して、人材確保等支援助成金ができる予定です。

■ 人材開発支援助成金の変更 ────────────────────

セルフ・キャリアドック制度を導入すると支給された助成金、職業能力検定制
度を導入するともらえた助成金は廃止されます。教育訓練休暇付与コース(有
給の教育訓練休暇を導入する事業主の方に対する助成)は新設されます。

キャリアアップ助成金の人材育成コースは人材開発支援助成金の特別育成訓練
コースになります。

■ 時間外労働等改善助成金(職場意識改善助成金より改称予定) ────────

時間外労働等改善助成金は平成30年度の要求額は前年予算の3倍以上で、時間
外労働の削減を強く進めようとしていることがうかがわれます。

職場意識改善助成金「時間外労働上限設定コース」を大幅に拡充して、「時間
外労働等改善助成金」(仮称)がスタートします。

■ 65歳超雇用推進助成金の変更 ──────────────────────

65歳超継続雇用推進コースでは、60歳以上被保険者数と、高齢者雇用の措置の
内容(65歳以上への定年引上げ、定年の廃止、66歳以上の継続雇用制度の導
入)に応じて、助成額が細かく区分されます。

高年齢者雇用環境整備コース、高年齢者無期雇用転換コースの新設が予定され
ています。