テレワークを導入しませんか

★★ テレワークを導入しませんか ★★

政府は働き方改革の施策のひとつとして、テレワークの導入を進めています。

2020年までにテレワーク導入企業を2012年比3倍、週1日以上終日在宅で就業
する雇用型テレワーカーを全労働者数の10%にすると指標を定めています。

■ 重要ポイント ────────────────────────

ワークライフバランスを確保するために、テレワークという働き方のメリッ
ト・デメリットをきちんと押さえ、導入しよう。

■ テレワークとは ────────────────────────

テレワークとは、情報通信技術を活用した事業場外勤務のことです。

「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語がテレワークです。

■ 二つのテレワーク ────────────────────────

テレワークには自営型(非雇用型)と雇用型があります。

自営型テレワークとは、「注文者から委託を受け、情報通信機器を活用して、
主として自宅又は自宅に準じた自ら選択した場所において、成果物の作成又は
役務の提供を行う就労」をいいます。(厚生労働省、自営型テレワークの適正
な実施のためのガイドライン)

自営型は労働契約ではなく請負契約で働く人です。一方、雇用型テレワーク
とは労働契約を結んでいるが、勤務場所が事業場外である就労のことです。

■ テレワークの始まり ────────────────────────

テレワークの始まりは1970年代、アメリカ・ロスアンゼルスです。エネルギー
危機対応とマイカー通勤による大気汚染緩和が目的でした。その後欧米でテレ
ワークが広まり、日本では1990年代にNTTが始めました。

情報通信技術の進歩に伴い多くの国でテレワークという形態は増えています。

■ テレワークの形態 ────────────────────────

テレワークには常時テレワーク(完全テレワーク)と随時テレワーク(部分テ
レワーク)があります。

勤務場所も在宅だけでなく、自宅近くや通勤途中の場所等に設けられたサテラ
イトオフィスでの勤務やスタバにパソコンを持ち込んで仕事をするようなモバ
イル勤務(選択した場所でのテレワーク)もあります。

■ テレワークの効果 ────────────────────────

働く人にとってはワークライフバランスの向上が大きなメリットです。通勤時
間が無くなり、子育てや介護をしながら働くことにも適しています。

実質的に労働時間が削減され、生産性が上がることが期待されます。

企業経営にとっては、優秀な人材が通勤が困難であることや育児等の理由で辞
めることを防止できます。業務の生産性が向上し、オフィスコスト(オフィス
スペース、ペーパーコスト、通勤コスト)の削減もできます。また、事業継続
性の確保(新型インフルエンザや自然災害発生時等の事業継続)にもテレワー
クは有効です。

社会的には、通勤に伴う渋滞緩和やCO2削減に役立ちます。通勤が困難な障害
のある方や遠方居住者などの新規雇用の創出も期待できます。(日本テレワー
ク協会のホームページを参考にしました)

■ テレワークのデメリット ────────────────────────

メリットの多いテレワークは情報通信機器の発達で、今後の拡大が期待されま
す。

しかし、企業側からは「労働時間の管理が難しい」「情報セキュリティの確保
に問題がある」、労働者側からは「仕事と仕事以外の切り分けが難しい」「長
時間労働になりやすい」との声が上がっています。

厚生労働省は平成30年2月、「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な
導入及び実施のためのガイドライン」を出しました。(以下はガイドラインを
参考にしたまとめ)

■ 在宅テレワーカーには労働基準法が ───────────────────

テレワークを行う労働者にも、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、
労働者災害補償保険法等の労働基準関係法令が適用されます。

■ 労働時間の適正な把握 ────────────────────────

テレワーカーも労働時間の把握をしなければなりません。

労働者が業務から離れる中抜け時間については、休憩時間や時間単位の年次
有給休暇として取り扱うことが可能です。

使用者の明示又は黙示の指揮命令下で行われる出張等の移動時間に情報通信
機器を用いて行う業務は労働時間となります。

テレワークにおいても、フレックスタイム制を活用することが可能ですが、
就業規則にその旨を規定し、労使協定で、清算期間や清算期間の総労働時間な
ど定めなければなりません。フレックスタイム制においては、始業及び終業の
時刻を労働者に委ねる制度ですが、労働時間は把握しなければならないことに
注意が必要です。

■ 労働時間をみなすことはできるが ────────────────────

事業場外労働については労働時間を算定することが難しいときに、労働時間を
あらかじめ決めた時間とみなすということが認められています。

(1)情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態に置くことと
されていないこと

(2)随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと

この二つの要件を満たす場合に「みなし」は認められます。

■ 時間外・休日労働は ────────────────────────

雇用型テレワーカーは労働者ですから法定労働時間を超える労働がある場合に
は、36協定の締結、届出及び割増賃金の支払が必要です。

休日や深夜の労働は原則禁止とするか許可制とするなどにして、長時間労働は
防止しなければなりません。

■ 労働安全衛生法ほかの適用 ───────────────────────

自宅等の業務の場所はどのような作業環境でしょうか。

事業所衛生基準規則などが求める作業環境となるよう求められています。

テレワークにおける災害は、業務上の災害として労災保険給付の対象となりま
す。

■ テレワークを進めるために ───────────────────────

テレワーク制度を導入するに当たっては労使間で十分に話し合って、業務内容
や業務のやり方について認識にずれがないようにしておきたいものです。

テレワークはやりたくない人に押し付けるものではありません。

テレワーカーの勤務態度や勤務状況がどのように評価されるのかも明確にして
おく必要があります。

テレワークに要する通信費等の費用についてどちらが負担するかなども、あら
かじめ話し合って決めておかないとトラブルになりかねません。

情報漏えいが起きないための研修や能力開発の研修を充実させることもテレ
ワークを上手く進めるためには重要です。

■ テレワークに取り組む中小企業に助成金 ─────────────────

テレワークの導入・実施に、通信機器を購入したとか、研修を行った、専門家
のコンサルティングを受けたなどの場合は、かかった経費の一部について助成
を受けられます。
(「時間外労働党改善助成金テレワークコース」)