★★ 雇用調整助成金の注意点 ★★
雇用調整助成金についての質問を多くいただきます。
申請に当たっての注意点をまとめてみます。
■ 重要ポイント ───────────────────────
雇用調整助成金は、事業主が休業させた従業員に支払った休業手当をあとか
ら助成するものです。休業に当たり休業協定書は必須。支払った給料日の後に
申請し、申請から入金まで1か月(従来は2か月)を要します。
■ 雇用調整助成金の財源は雇用保険 ─────────────────
雇用調整助成金は雇用保険法を根拠に雇用安定事業として、労働者の失業防止
のために事業主に対して支給する助成金です。
働く意思と能力のある従業員の休業、スキルアップのための教育訓練、または
他の事業所への出向に関し、事業主は雇用調整助成金により雇用維持を行うた
めの経済的支援を国から受けることができるというものです。
事業主が納めている雇用保険料を財源としています。
■ 雇用保険助成金は昭和50年から ───────────────────
雇用調整助成金は雇用調整給付金として昭和50年(1975年)に創設され、昭和
56年(1981年)に雇用調整助成金となりました。古くからある助成金です。
雇用保険からの助成金なので、従来対象者は雇用保険の被保険者に限られてい
ました。
今回は新型コロナウイルス感染症の影響が大きいことを踏まえ、雇用保険の被
保険者でない勤務時間が短い労働者も対象に「緊急雇用安定助成金」が創設さ
れています。
■ 事業活動の縮小とは ───────────────────────
(4月24日現在版のガイドブックより以下引用)
売上高又は生産量などの事業活動を示す指標の最近1か月間(計画届を提出す
る月の前月)の値が前年同月比(※1)(※2)以上減少していることが要件で
す。
※1 前年同期を比較対象とすることが適当でない場合は、前々年同期1か月と
の比較が可能
※2 前年同期や前々年同期1か月と比較できない又は比較しても指標が5%以
上減少せず、要件を満たさない場合は、計画届を提出する月の前年同月から計
画届を提出する月の前々月までの間の適当な1か月との比較が可能
⇒ 事業活動の縮小要件が緩やかになりました。
■ 休業とは ───────────────────────
休業とは、労働者がその事業所において、所定労働日に働く意思と能力がある
にもかかわらず、労働することができない場合をいいます。
有給休暇中のように労働の意思そのものがない場合や、新型コロナウイルスに
感染した場合等による休暇中のように労働能力を喪失している場合等の休職・休
業は、本助成金の対象となりません。
■ 休業協定書の作成 ───────────────────────
雇用調整(休業)の実施について労使間で事前に協定し、その決定に沿って雇
用調整を実施することが助成金の要件です。休業協定は、労働者の過半数で組
織する労働組合がある場合にはその労働組合、ない場合には労働者の過半数を
代表する者との間で書面により行う必要があります。
■ 休業協定書と労働者代表選任書 ───────────────────
いつからいつまでの何日間の休業で、その間の賃金はいくらにするのかを休
業協定書に記載します。事業主と労働者の過半数から選任された労働者代表が
協定書にサインします。
労働者の過半数の者から労働者代表の選任について委任状をもらう必要があ
ります。委任状は助成金の提出時に添付不要になっていますが、会社で保管し
ておくことが求められています。選任された労働者代表は労働者代表選任書に
より選出されたこを事業主に届け出ます。
労働者代表選任書は計画届と支給申請を同時に行う場合には、様式特第9号
の労働者代表署名欄への署名により提出を省略できます。
■ 複数の事業所がある場合の休業協定書─────────────────
助成金の支給は雇用保険の適用事業所を単位として行います。
複数の事業所があるが本社で一括して事務処理を行っていて、各事業所単位で
雇用保険の番号をとっていない場合には、本社が事業所分もまとめて申請しま
す。
休業協定書については各事業所単位で締結することも構いません。会社全体で
常時雇用する労働者の過半数から労働者代表選任の委任をもらっておく必要が
あります。(新潟労働局助成金受付窓口の回答)
■ 上限額8,330円の壁 ───────────────────────
4月25日、雇用調整助成金が「拡充1 休業手当の支払い率60%超の部分の助
成率を特例的に10/10とする。拡充2.1のうちの一定の要件を満たす場合は、
休業手当全体の助成率を特例的に10/10とする」と大きく報道されました。
朗報のようですが8,330円の上限金額はそのままです。
8,330円の壁がなくならない限り今回の「更なる拡充」のメリットは少ない
でしょう。
■ オンライン申請も可か ───────────────────────
雇用調整助成金について、5月中にもオンラインでできるようになりそうです。
(4月29日日本経済新聞)
※ 雇用調整助成金FAQ(令和2年4月27日)、雇用調整助成金ガイドブック令和2年
4月24日現在版)等を参考にしました。
※ 申請に当たっては、最新情報と要件の詳細をご確認ください。