36協定届が押印不要に

★★ 36協定届が押印不要に ★★

■ 重要ポイント ────────────────────────

36協定届を提出するときの押印・署名が不要になります。

2020年7月の規制改革推進会議が提示する基準に合うよう、労働基準法施行規
則が改正され正式に決まりました。(2020年12月22日)

2021年4月から労働基準監督署に届け出る36条協定届が新様式になります。

■ 時間外・休日労働が生じるとき────────────────────

変更点を理解するために押さえておきたいことは、監督署に提出しなければな
らない36協定届(決められた様式)と36協定(労使協定。労働者代表と使用者
で合意の上締結する書類)は違うということです。

36協定は書面において締結しなければならず、36協定書とは、36協定の必要事
項を記載した書面のことをいいます。

本来は、労使で合意した上で労使協定を締結(労使双方の合意がなされたこと
が明らかになるような記名押印又は署名などにより締結)したあとで、労使協
定の内容を36協定届(監督署の様式)に転記して届け出るものなのです。

協定届と36協定書を兼ねることもできますが、その場合は、協定届に労働者代
表の署名又は記名・押印と使用者の署名又は記名・押印が必要です。

今回の様式が改正になっても36協定届が協定書を兼ねる場合には、署名又は記
名・押印は省略できません。

■ 新様式の変更点その1 ────────────────────────

労働基準監督署に届け出る36協定届について、使用者の押印及び署名が不要
となります。

■ 新様式の変更点その2 ────────────────────────

36協定の適正な締結に向けて、労働者代表についてのチェックボックスが新設
されます。

新しくできるチェックボックスの内容は以下の二つです。

(1)「協定の当事者である労働組合が事業場の全ての労働者の過半数である
労働組合である又は協定の当事者である過半数を代表する者が事業場の全ての
労働者の過半数を代表する者であること」

(2)「労働者の過半数を代表する者が、労働基準法第41条第2号に規定する
監督又は管理の地位にある者でなく、かつ、同法に規定する協定等をする者を
選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きによ
り選出された者であって使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」

協定当事者が過半数労働組合である場合は、(1)のチェックボックスのみ
にチェックをすれば、形式上の要件に適合する協定届・決議届となります。

協定当事者が過半数代表者である場合は、(1)(2)両方のチェックボッ
クスにチェックしないと、形式上の要件に適合する協定届・決議届にはなりま
せん。

■ いつから新様式? ────────────────────────

新様式の施行日は2021年4月1日です。

交付日である2020年12月22日から2021年3月31日までは旧様式ですが、新様式
により届け出ることもできます。

また施行日までの間であっても、押印又は署名がなくとも届け出ることができ
ます。

施行日以後は、旧様式に直接チェックボックスの内容を追記するか、チェック
ボックスの記載を転記した紙を添付して届け出ることもできます。

■ 電子申請による届出 ────────────────────────

施行日以降は36協定届の労働基準監督署への届け出を電子申請により行う場合
には、電子署名・電子証明書の添付は不要となり、入力フォーマットに提出す
る者の氏名を記載することで提出することができます。

■ 使用者印不要となる書類 ────────────────────────

36協定のほかにも使用者の記名のみで届出等を行うことができる書類は1年単
位の変形労働時間制に関する協定届などほかにもあります。

届出のときは気をつけましょう。