★★ 【人事評価改善等助成金】をご存知ですか? ★★
働く人にとって、「どのようなことが求められ、評価されて、賃金が上がる
のか」、大きな関心事です。
評価制度と評価が反映される賃金表を作ると50万円がもらえる助成金があり
ます。制度をつくって運用し、所定の要件を満たした場合、さらに80万円も支
給されます。
■ 重要ポイント ─────────────────────────
平成29年4月から新しくできた【人事評価改善等助成金】。
人材不足を解消することが目的とうたわれている助成金です。
賃金表があるといいと思っている会社であればうまく使いたい助成金です。
■ 人事評価制度を整備で50万円 ─────────────────
事業主が、人事評価制度と賃金のアップを含む賃金制度(「人事評価制度
等」)の整備を行った場合に人事評価制度整備助成金50万円がもらえます。
まずは評価制度をつくり労働者に開示します。
どのような業務でも初級、中級、上級のようなレベルがあると思います。レベ
ルに応じて期待されることは違います。何をしてほしいか、何を評価するかが
明記されている評価表を作ります。
■ 評価項目の具体例 ───────────────────────
初級では業務に必要な知識や技術をまず覚えてもらうことになるでしょう。
「担当業務について知識・技術を持ち活用している。」評価項目の一例です。
ビジネスマナーも必要でしょう。「基本的な接遇の知識があり、元気で明るい
挨拶、感じの良い接客ができる。」
中級では部下の指導が期待されます。
「部下の性格や能力を理解し、上手く育成している。」また、自身の能力向上
のために「業務に関するセミナー・研修会に参加し、技術の向上に努めてい
る。」仕事を任せられてクレームを受けることもあるでしょうから「問題発生
時やクレームには、冷静かつ柔軟に対応している。」といったことを評価項目
にします。
上級では判断力や折衝力も問われるでしょう。「仕事の目的や要点を押さえ、
組織全体や長期的な視点からの総合的な判断をしている。」「顧客や部下、同
僚に対して感情的にならず誠実に対応し、説得力ある話ができる。」など。評
価項目は具体的な行動で表すのがよいでしょう。
■ 評価項目と賃金表 ───────────────────────
評価表に基づく評価は1年に1回以上行うようにしなければなりません。すべて
の正規労働者を対象として実施します。
評価が高ければ評価表に基づいて高額の昇給をし、評価が悪ければ現状維持の
賃金となるように評価と賃金が連動するように制度をつくります。
人事評価制度の実施日の前月とその1年後の同月を比較したときに「毎月決ま
って支払われる賃金」の額が2%以上増加する見込みである必要があります。
毎月決まって支払われる賃金とは基本給や諸手当(時間外手当・休日手当を除
く)のことです。
2%の増加とは人事制度の対象である正規労働者の全員分の合計額のことで、
各人すべての2%アップは求められていません。
人事評価制度については就業規則に規定し、労働組合又は労働者の過半数を代
表する者と合意していることが必要です。
■ 事前の計画書の提出が必要 ───────────────────
この助成金は、制度をつくる前に「人事評価制度等整備計画書」の提出を忘れ
てはなりません。
人事評価制度等を整備する月の初日からさかのぼって、6か月前~1か月前の日
の前日までに提出しなければなりません。
計画書の申請には、現行の就業規則と整備後(変更後)の就業規則案(賃金規
程、賃金表を含む)を添付します。賃金アップの見込みについても「賃金アッ
プ計算書」で2%以上になる見込みであることを証明します。
■ 人事評価改善等助成金(制度整備助成)の申請時期 ───────
人事評価制度を整備し、評価をして新しい賃金表で賃金を最初に支払った日か
ら2カ月以内に人事評価改善等助成金(整備助成)の申請をします。申請後審
査を経て50万円が受給できます。
■ 目標達成で後から80万円 ───────────────────
制度を実施して1年後、2%の賃金アップの他に生産性向上、離職率の低下が認
められた場合、「人事評価改善等助成金(目標達成助成)支給申請」ができま
す。
■ 生産性向上とは ───────────────────────
労働関係助成金で生産性とは「従業員1人当たりの付加価値」のことをいいま
す。
付加価値とは、営業利益、人件費(役員報酬は含めない)、減価償却費、動
産・不動産賃借料、租税公課の合計額をいいます。付加価値を雇用保険被保険
者数で割ったものを「生産性」といいます。
「生産性要件」を満たしている(生産性向上が認められる)とは、助成金の支
給申請を行う直近の会計年度における「生産性」がその3年度前に比べて6%以
上伸びていることをいいます。
6%未満であっても1%以上伸びていて、金融機関から一定の「事業性評価」
を得ている場合には認められます。
ただし、生産性要件の算定の対象となった期間中に、事業主都合による離職
者がいないことが要件です。
設立後3年未満の会社など比較対象となる3年前の生産性要件を算出できな
い場合には、対象外です。
■ 離職率の低下 ───────────────────────
整備計画を提出する前1年間の離職率と実施日の翌日から1年間の離職率を比較
し、雇用保険被保険者数300人以下の会社は現状維持(0%)、301人以上の会
社は1%ポイント以上低下しているなどで判定します。
■ 目標達成助成金の申請 ───────────────────
制度整備助成の措置を実施し、生産性要件、離職率を低下させた場合に人事評
価改善等助成金(目標達成助成)の申請ができ、審査後80万円が支給されます。
■ まとめ ─────────────────────────
この「人事評価改善等助成金」はじめ、生産性が主要な助成金で問われるよう
になりました。今後もこの傾向は続くと思われます。
平成29年4月に雇用保険法が改正され、雇用保険二事業の理念として、「労働
生産性の向上に資するものとなるよう留意しつつ、行われるものとする」と明
記されたからです。
昇給の仕組みが無くてお悩みであれば、50万円プラス80万円が受給できるこの
助成金、お勧めです。