育児休業Q&A

★★ 育児休業Q&A ★★

「母親と父親が1か月ずつ交替で育児休業を取ることはできますか?」

ある会社で新入社員に労働時間や就業規則の説明をする機会があり、育児介
護休業規程の説明もしたところ、こんな質問がありました。果たして・・・

■ 重要ポイント ────────────────────────

育児休業の取得は適正に申出があった場合、事業主は拒否できない。申出の
内容、時期には注意が必要だ。

■ 育児休業について書いてある法律は?───────────────────

「育児・介護休業法」といいますが、正式には「育児休業、介護休業等育児又
は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」です。

平成29年には1月と10月に改正がありました。

10月の改正で、保育所等に入れない場合、最長2歳まで育児休業の再延長が可
能になりました。

■ 育児休業をすることができる人は?────────────────────

「育児休業」とは、子を養育するための休業です。養育とは、同居し監護する
ことです。育児休業は、原則として1歳に満たない子を養育する男女の労働者
です。

■ 対象となる「子」の範囲は?────────────────────────

労働者と法律上の親子関係がある「子」であれば、実子、養子を問わず、父親、
母親のいずれでも育児休業をすることができます。

また、特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子も対
象です。

■ 事業主は育児休業の申出を拒むことができますか?──────────────

事業主は、要件を満たした労働者の育児休業の申出を拒むことはできません。

父親である労働者が数日間の育児休業を取りたいと事業主に相談された場合、
繁忙期なので休業をしないでくれということはできません。

■ パートタイマーは対象外?────────────────────────

パートタイマー等の名称で働いていたり、1日の労働時間が通常より短い労働
者であっても、期間の定めのない労働契約によって働いている場合は、法律に
基づく育児休業の対象です。

■ 労働者はどのような事項を申し出ることが必要ですか?───────────

育児休業の申出は、一定期間労働者の労務提供義務を消滅させる効果のある意
思表示です。

(1) 申出の年月日

(2) 労働者の氏名

(3) 申出に係る子の氏名、生年月日及び労働者との続柄等(子が出生して
いない場合は、出産予定者の氏名、出産予定日及び労働者との続柄)

(4) 休業を開始しようとする日及び休業を終了しようとする日

この(1)から(4)は必ず明らかにしなければならない事項です。事業主が
適当と認める場合には、ファックス又は電子メールで行うことも可能です。
1歳までの育児休業をしていて延長をするなどの特定の場合には、ケースに応
じほかに明らかにしなければならない事項があります。

■ 育児休業は何回申し出ることができますか?───────────────

申出は、特別の事情がない限り1人の子につき1回で、申し出ることのできる
休業は連続したひとまとまりの期間の休業です。

ただし、子の出生後8週間以内の期間内に取得した最初の育児休業(パパ休
暇)については、特別の事情がなくても再度取得できます。

■ 「育児休業」と「育児休暇」違いは?──────────────────

休業は、労働契約があり、労働者から労務提供がされていない状態のことで、
休暇の連続している状態のことです。

■ 「申出」とは?────────────────────────

申出は、何らかの権利を有する人が権利の確認のためにする行為で、内容が適
正ならば必ず権利を行使できます。

事業主は、要件を満たした労働者の育児休業の申し出を拒むことはできません。
申出により労働者の労務の提供義務は消滅するのです。

■ 申出を受けた事業主は?────────────────────────

事業主は、育児休業の申出がされたときは、次の事項を速やかに通知しなけれ
ばなりません。通知は、書面のほかファックスや電子メールでもかまいません。

(1) 育児休業申出を受けた旨

(2) 育児休業開始予定日及び育児休業終了予定日

(3) 育児休業申出を拒む場合には、その旨及びその理由

この通知がされなかったとしても、適正に申出を行った労働者は育児休業が
できます。

■ 子が1歳になる日はいつ?───────────────────────

誕生日の前日が1歳に達した日です。

法律上、年齢到達日は誕生日の前日の午後12時(午前零時、真夜中)です。

■ 育児休業の期間は男女で違う?─────────────────────

育児休業をすることができるのは、原則として子が出生した日から子が1歳に
達する日(誕生日の前日)までの間で労働者が申し出た期間です。

育児休業に係る子を出産した女性労働者は、労働基準法の規定により産後8週
間の休業が認められているので、育児休業はその終了後から取得が可能となり
ます。子が出生した日から育児休業をすることができるのは男性労働者という
ことになります。

■ 育児休業の延長、再延長────────────────────────

子が1歳(又は1歳6か月)以降の期間について休業することが雇用の継続のた
めに特に必要と認められる場合(保育所等に申し込みを行っているが、入所で
きない場合等)には、子が1歳6か月(又は2歳)に達する日までを限度とし
て、事業主に申し出ることにより育児休業ができます。

2歳までの休業は、1歳6か月到達時点で更に休業が必要な場合に限って申出
可能となり、1歳時点で可能な育児休業期間は子が1歳6か月に達する日まで
となります。

■ 申出の期限 ────────────────────────

子が1歳に達するまでの育児休業については、労働者は、希望通りの日から休
業するためには、原則として育児休業を開始しようとする日の1か月前までに
申し出ることが必要です。

子が1歳6か月までの育児休業の場合は、育児休業開始予定日(1歳の誕生日、
又は、パパ・ママ育休プラスの場合は終了予定日の翌日)の2週間前までに申
し出ることが必要です。また、子が2歳までの育児休業の場合は育児休業開始
予定日(1歳6か月に達する日の翌日)の2週間前までに申し出ることが必要
です。これより遅れた場合、事業主は一定の範囲で休業を開始する日を指定す
ることができます。