10月のニュースレターをUPしました。

◆何歳までどう雇う?◆

大和証券グループが営業職を70歳まで継続雇用すると発表しました。(9月27日)

「今回の改訂は、豊富な経験を活かし、能力をより発揮して活躍し続けてもらうことを目的としております。また、社員のキャリアの選択肢が広がり、ライフプランに応じてより長く働き続けることができるようになります」と会社。

 70歳まで雇用延長するケースは珍しいことです。
 証券業界では今後、個人向けの営業活動を活発化する必要があることも、70歳まで雇用継続するに至った背景にあるようです。

 重要ポイント

 定年60歳、その後1年雇用で65歳までという制度が定着しつつあります。多くの企業は60歳後、賃金を下げざるを得ない中で、イキイキ働いていただくにはどうすればいいのか、模索が始まっています。

 60歳超雇用の課題

高年齢者を雇用し続ける課題についてたずねた調査によると「職務配分(=高年齢者にどのような仕事をしてもらうか)」が最も多く、60.9%でした。次いで、「職場配置」46.7%、「高年齢者のモラール維持」41.2%、「人件費の増加」38.3%、「若年層の雇用やモラールへの影響」38.0%となっています。(産労総合研究所「中高齢層の賃金・処遇に関する調査」2013年5-6月実施)

 どのような仕事をヤル気を下げないでしてもらうかが、高齢者を雇用する大きな課題となっているようです。

 定年60歳が9割以上

 4月から改正高年齢法が施行されていますが、大多数の企業は、定年年齢を「全員一律」に「60歳」としています。(93.2%)
 雇用形態では、87.5%の企業で「嘱託・契約社員」となっています。(前掲調査)

 賃金決定は個人ごと

 60歳代前半層の賃金の決め方としては、「個人ごとに異なる」34.7%、「一律に定年時賃金の一定率を減額」28.8%、また「一律定額制」18.6%となっています。
 また、「仕事内容」52.6%、「役割」40.9%、「能力」38.7%のように賃金を決めています。(前掲調査)

 公的給付を前提とするか

 昨年度までは60歳代前半層に、在職老齢年金と高年齢雇用継続給付金が支給されていました。60歳になって賃金が下がっても、年金と給付金がもらえるので、それを考慮してお得な額に賃金を定めるという企業が多くありました。
 2010年、在職老齢年金と高年齢雇用継続給付金の併給を前提として賃金を決定していた企業は40.8%でしたが、今回2013年の調査では35.4%に減っています。
 逆に、公的給付の受給は前提とせず独自に設定という企業は2010年の38.4%から、44.5%に増えています。(前掲調査)
 老齢厚生年金の報酬比例部分の引き上げがはじまっている影響といえます。

 人事評価の有無

 60歳代前半層について「人事評価を行っている」企業は53.3%です。
 「業務達成度の評価」「取組み姿勢・情意評価」「能力評価」などがその評価内容で、評価結果の反映としては、「賞与・一時金に反映」が6割で、「月例賃金に反映」が4割(複数回答)です。
 企業規模別で見ると大企業ほど評価の実施状況が高くなっています。
 小規模企業では60歳超の社員が業績を上げたとしても賃金を変えないので、人事評価も行わないが、大企業ではきちんと評価し、処遇に反映させているのでしょう。
(この調査は産労総合研究所の会員、全国1・2部上場企業等のうち回答のあった3,500社が調査対象です)

 60歳超の社員の本音

 60歳を過ぎて継続雇用されて働く社員とのヒアリングにより、思いや本音を分析したある会社では、「社員と扱いが違う」「認められていない」「役に立っている実感が欲しい」という結果であったといいます。
 その会社では、正社員の時にはアクセスできた社内データにアクセスできなくなったり、会議メンバーからはずされたり、評価シートが変わったりなどということがあり、細かな違いに直面して、不満をもったり、淋しい思いをしたりしている者がいることがわかったそうです。

 定年を65歳に延長、60歳で賃金見直し

 イキイキと高齢者に働いてもらいたいという会社の取り組み事例をご紹介します。
 サントリーホールディングズは4月から65歳定年制を実施しました。
 シニア層にイキイキ働いてもらいたいという狙いです。
 サントリーの場合、60歳以前の処遇体系は変更しないものの、60歳以降は60歳時点の資格に基づき新資格に移行するという制度です。定年延長とはいえ、60歳以降の年収水準は60歳時点の6~7割程度になるといいます。ただ、福利厚生制度は60歳以前を継続します。
 65歳まで正社員としての雇用ですが、人事考課により処遇の変動を取り入れているといいますし、正社員なので転勤もあります。
 会社としては、定年延長で社員の生活の安定を保証しながら、シニア層の活躍を期待、より業績の向上を目指しています。

 セカンドライフ支援制度

 東京ガス株式会社では、50歳から「セカンドライフ支援」を行うことで、シニア層の多様な働き方をバックアップしています。

 50歳時点のセミナーでは、キャリアを振り返っていただき、50歳代からの活力ある働き方を考える研修を行います。集合研修と面接を実施、これからのライフプランを立ててもらい、その後定期的にフォロー面接もします。
 55歳でセカンドライフ支援セミナーを行います。退職手当や公的年金についての説明をし、雇用に関する情報を提供します。これからのライフプランとマネープラン、生涯を通じたライフ&キャリアプランをたてるセミナー内容です。
 さらに定年で退職する社員には3カ月前に、社会保険や諸手続きについてのセミナーを開催します。配偶者の同伴も可能なセミナーにしていると聞きました。

 まとめ

 60歳を過ぎた社員にどうイキイキと働いてもらうか、取り組みは始まったばかりです。
 弊所もライフプラン研修行っていますので、お問い合わせください。

 その他の記事

 ト ピ ッ ク ス    最低賃金が大幅に上がります

 平成25年度、地域別最低賃金額の答申状況が発表されました。
 最低でも11円のアップで、引き上げ額が一番大きかったのは22円の愛知県で、758円から780円に上がります。引き上げ額の平均で15円ですから、全体に大幅アップ、注意が必要です。

 高い都道府県ベストスリー:
     東京(869円)神奈川(868円)大阪(819円)

 一番低い最低賃金は664円で、
     鳥取、島根、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、沖縄の9県

 最高と最低では205円も開きがあります。

 新潟県は12円上がって現在の689円が701円になります。平成13年からの数年間は最低賃金が据え置かれたり、3円程度の引き上げがあったりで変化はわずかでしたが・・・。
 発効年月日は新潟県の場合、10月26日からです。他県に営業所がある場合は、営業所がある県の最低賃金が適用になります。

 シリーズ 年 金 
       ~ 年金受給に必要な年数が短縮されます ~

 厚生年金や国民年金を受給するためには、個的年金への加入が25年必要です。27年10月から、この25年が10年に短縮される予定です。無年金者を少なくしようというのが改正の趣旨です。
 無年金者のうち17万人が新しく年金を受給できるようになるといわれています。

【スタッフからひとこと】  厚生年金保険料アップです!

 9月分から算定基礎で決定した標準報酬月額になり、厚生年金保険料UPになります。
 厚生年金保険料率は毎年0.354%引き上げられます。今回の改訂で料率は17.12%となり、会社と本人で折半し8.56%ずつ負担します。10月給与から控除している会社はこれから確認し、従業員への通知も必要になります。

 従業員への通知、これもお忘れなく。

9月13日 「今もらえる助成金・得する税制のポイント」 セミナー終了

 私は新しくなった助成金の解説と具体的な申請に当たっての注意点をお話しました。
 税理士の渡邊日奈子先生からは雇用促進税制や今後の賃上げ減税についてお話いただきました。
 国は労働関係の助成金を大きく見直し、特に若者と高齢者の雇用や教育研修に熱心な会社をバックアップしています。雇用を増やしたり、賃金を上げたりした企業には税金を安くするという施策も打ち出しています。税務の知識と人事労務の知識が総合的に求められているのです。
 ときには専門の方と連携して、知識や知恵を頂、情報提供を続けて行きたいと思います。
 「いつもメルマガ読んでいます。参考にしています」
 「小さな会社で経理も社会保険手続きもやっています。知らないことがたくさんあるのに気づきました」という感想をいただきました。
 定員を上回る参加者で、セミナー後 有志で行った懇親会も盛り上がりました。