申請人労働太郎から平成○年○月○日申請のあったあなたとの間の紛争のあっせんについて・・・・・・通知します(新潟労働局)
通知書には、元従業員が書いた「あっせん申請書」の写しが添付されていました。
合意のうえ、退職届を出して辞めていった人が・・・
あっせんとは何でしょう。どのように対応すればいいのでしょう?
■ 監督署従来の対応は
残業代に不満がある労働者が監督署をたずねたとします。残業時間の記録と賃金明細書を照合して労基法違反が確認されれば、救済してくれます。
他方、法律に違反しているとまではいえない問題は、労働基準法の履行確保を第一義とする監督署本来のの処理にはなじまない、窓口にとって頭の痛い問題でした。
■ 「個別労働関係紛争」解決のために
かつて「労使紛争」といえば、専ら労働組合絡みの問題でした。けれども、組合の組織率も20%を切る現在、従来型労使紛争の減少とは裏腹に、労働者個々人と会社との間のトラブルが増加しています。
「個別労働関係紛争」とは、個々の労働者と事業主との間の、、必ずしも法律には抵触していない紛争をいい、その迅速な解決を図るために、平成13年「個別労働紛争解決促進法」という法律が制定され、これを受けて労働局・監督署に「総合労働相談コーナー」が設置されています。
■ 「あっせんもいたします」
総合労働「相談」コーナーですから、指導や助言をしてくれるのは当然でしょうが、一歩進めて、、問題解決のためのあっせんを求めることもできます。この「あっせん」は、窓口での相談員による助言とは別に、大学教授や弁護士など労働問題の専門家を紛争のただ中に立たせ、労使の互譲による問題解決を仲介させようというものです。
あっせんの対象となるのは、以下のような紛争です
- 解雇・雇止め、配置転換・出向、昇進・昇格に関する紛争
- セクシャル・ハラスメント、いじめなど職場の人間関係や就業環境に関する紛争
事業者も利用できる制度ですが、労働者からの申請がほとんどのようです。
■ あっせん当日
相手方が「応じない」と回答した場合、あっせん手続きはそのまま打ち切られますが応じた場合には、会社(又は労働者)は、事務局から通知される、期日(あっせん当日)の2週間前までに反論書(様式任意)を事務局経由であっせん委員に送ります。 あっせんは通常午前か午後半日で時間設定され、両当事者のどちらか一方が交互にあっせん委員の部屋に呼ばれ、委員のコメントつきで相手方の意見を聞かされ、自分の意見を主張し修正し、再度摺り合わせる形で進められます(、両当事者は、顔を合わせることがないよう別々の控え室で交互に待機します)。
■ ~たとえば~
○元労働者(あっせん委員に対して)
「本当は復職したい。だめなら給与の2か月分60万円を支払ってほしい。」
○あっせん委員(元労働者に対して)
「伝えましょう。控え室でお待ちください。」
○事業主(あっせん委員に対して)
「言い分はわかりますが・・・」
これを数回繰り返し最終的に、例えば「和解金10万円」で双方の合意が得られると文書が作成され、あっせんは終了します。
合意の理由は「これ以上煩わされたくない」などあまり積極的とはいえないものが多いようですが、理由がどうであれ、この合意文書は和解契約と同じ効力があり、文書作成に至らなかった場合、「あっせん」は打ち切りとなります)。
■ トラブルは「ない」が一番
何しろ無料です。手軽に利用できる相談機関があって悪いとはいいませんが、ダメモトで吹っかけてくる人がいないともいえません。会社は労務リスクへの備えが必要です。
一定の研修を受け試験に合格した特定社会保険労務士には紛争解決の代理権が与えられています。「特定社会保険労務士」と名刺に書いておいても「何?」と言われることがほとんどですが・・・
その他の情報 (※記事の詳細はPDFでご確認ください)
○ ト ピ ッ ク ス 契約社員・嘱託が急増 平成20年労働力調査(総務省)
パートアルバイト、派遣社員、契約社員・嘱託の非正規従業員が前年比22万人と急増。定年後の継続雇用措置が義務化された影響と思われる。
「正規」従業員の増減状況は、製造業14万人、建設業12万人、飲食店・宿泊業7万人それぞれ減少し、医療・福祉のみが6万人増。
○ シリーズ年金 賞与の年金保険料
賞与とは3ヶ月を超える期間ごとに支払われるものをいう。これにかかる保険料は、支給額から1千円未満の金額を切り捨てた「標準賞与額」に料率をかけ、150万円を超えるときは「150万円」として算定する。
支給額100万円の場合、健康保険料:41,000円、厚生年金保険料:76,750円がかかるので、本人へは882,250円(会社のコストは1,117,750円かかっている)。
※厚生年金保険料は、9月にまたアップ。
○ 人事労務の素朴な疑問 休日に働いても3割5分増ししなくていい?
所定休日に3割5分支払っている会社が少なくないが、法律が3割5分増しを求めているのは法定休日労働分だけ。
業 務 日 誌 か ら
男性社員の育児休業
「8ヶ月になる子のいる男性社員が育児休業をとりたいといってきた。会社としてどうすればいいでしょう。男性の育児休業について、社会保険や雇用保険の仕組みはどうなっているのでしょう。???」
その男性社員の配偶者は、現在育児休業をとって育児をしているが、ストレスがたまっている。子どもが1歳になって彼女が職場復帰するまでの数ヶ月間、家事育児にかかわりたいのだという。
「休業に対し、会社に賃金支払い義務はない。社会保険料は本人分、事業主分とも免除になる。雇用保険から休業期間に対しトータルで5割の賃金の保障がある。この雇用保険の育児休業の給付金は配偶者がもらっていても制限はない。新潟市では男性の育児休業に対し、事業主に20万円、本人に5万円の奨励金を支給している・・・」と説明した。 休業期間の業務の引き継ぎを終えた後、約3ヶ月の休業に入ることになりそうだ。