キャリアアップ助成金の正社員化コースの変更

★★ キャリアアップ助成金の正社員化コースの変更 ★★

■ 重要ポイント ────────────────────────

助成金は毎年変わりますが、申請者が多いと思われるキャリアアップ助成金の
正社員化コースで大きな変更がありました。

■ キャリアアップ助成金とは ────────────────────────

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者など
の非正規雇用の労働者のキャリアアップを促進する目的の助成金で以下のよう
な7つのコースがあります。

(1) 正社員化コース

(2) 障害者正社員化コース

(3) 賃金規定等改定コース

(4) 賃金規定等共通化コース

(5) 諸手当制度等共通化コース

(6) 選択的適用拡大導入時処遇改善コース

(7) 短時間労働者労働時間延長コース

いろいろなコースがありますが正社員化コースがキャリアアップで一番求め
られていることだと思います。

■ 正社員化コースの大幅な変更 ────────────────────────

正社員化コースは有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換したときに支給
される助成金です。

有期労働者を正社員に転換した場合、57万円<72万円>の助成金を中小企業事
業主は受給できます。(<>は生産性要件を満たした場合の金額)

■ 賃金額のアップに賞与は含めることができなくなった ─────────────

改正前は 正社員に転換される前の有期契約のときの6か月の賃金と正社員に
なってからの6か月の賃金を比較して5%以上増額されていることが助成金の要
件でした。

5%アップの賃金に時間外労働手当などの変動する手当は含めることができま
せんでしたが、賞与を含むことはできました。

今年度の改正で、2021年4月以降に取組をした事業主は、賞与を含めないで3%
以上増額していることが要件になりました。大きな変更です。

■ 基本給及び定額で支給されている諸手当を含む賃金とは ────────────

家族手当などは算定に含めてよい手当です。

定額の手当であっても実費弁償的なものは除かれます。

たとえは通勤手当(就業場所までの交通費を補填する目的)、住宅手当(家賃
等を補填する目的)、食事手当(食費を補填する目的)は算定に含めることが
できません。

毎月の状況により変動することが見込まれるものは除きます。

たとえば歩合給(本人の営業成績等に応じて支払われるもの)、時間外労働手
当や休日手当は算定に含めることができません。

■ 固定残業代には十分注意を! ───────────────────────

固定残業代を支給している場合は固定残業代に関する時間数と金額等の計算方
法を就業規則または雇用契約書等に明記しておく必要があります。

固定残業代の総額又は時間相当額を減らしている場合であって、かつ転換前後
の賃金に固定残業代を含めた場合に、賃金が3%以上増額していない場合は助
成金の対象となりません。

例えば転換前の基本給20万円、固定残業代5万円(合計25万円)で、転換後は
基本給アップで21万円、固定残業代4万円(合計25万円)は対象となりません。

■ 変更前までは賞与を入れて要件を満たすことが多かった? ───────────

以前に申請したいくつかの会社は、賞与を入れて要件を満たすことが多かった
と思います。有期雇用労働者に賞与を支給していることはほとんどないので、
正社員になって昇給しなくても賞与を入れて要件を満たすことが簡単にできた
からです。

今回の改正は、毎月の固定的な賃金の上昇によって安定的に待遇が改善される
ことを正社員化の助成金の要件としたということになります。

いずれにしても毎年改正がある助成金、常に最新の情報を確認しておかなければ
なりません。