障害者の雇用

★★ 障害者の雇用 ★★

「うちの会社も障害者を雇用するよういわれた・・・」戸惑っている会社も少
なくないようです。

障害者の雇用について考えます。

■ 重要ポイント ────────────────────────

病気やケガで誰しも障害者になる可能性があります。障害の有無にかかわら
ず、人権が尊重され、障害の程度に応じて働くことができるよう、障害者雇用
促進法は目指しています。

■ 障害者とは ────────────────────────

障害者とは「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の
心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)があるため、長期にわたり、
職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者をい
う。」と定義されています。(障害者雇用促進法2条)
病気などにより一時的に職業生活に制限を受ける者は法の対象となる障害者
になりません。

■ 身体障害者とは ────────────────────────

身体障害者については、(1)視覚障害、(2)聴覚又は平衡機能の障害、
(3)音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害、(4)肢体不自由、
(5)心臓・じん臓、呼吸器、ぼうこう、直腸、小腸、ヒト免疫不全ウイルス
による免疫若しくは肝臓の機能の障害などのある方で、身体障害者手帳1~6級
に該当する方です。

■ 知的障害者とは ────────────────────────

児童相談所や知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、障害者職業セ
ンターにより知的障害があると判定された方です。

■ 精神障害者とは ────────────────────────

症状が安定し、就労が可能な状態にある

(1)精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者

(2)統合失調症、そううつ病(そう病及びうつ病を含む。)又はてんかんに
かかつている者(前号に掲げる者に該当する者を除く。)

と規定されています。

■ その他の心身の機能障害 ────────────────────────

内部障害を有する者、難病に起因する障害を有する者、 高次脳機能障害を有
する者等については、その障害が長期にわたる又は永続するもので、かつ、職
業生活を相当程度制限する又は職業生活を営むことが 著しく困難な場合は障
害者に含まれます。

■ 障害者の対象の変遷 ────────────────────────

障害者雇用促進法の前身は昭和35(1960)年の「身体障害雇用促進法」です。
国際労働機関(ILO)の勧告を受けて制定されたものです。

その後の改正で身体の障害だけでなく現在のような知的障害や精神障害者等
を含むすべての障害者を対象とした雇用を促進する法律になりました。
■ 障害者雇用率 ────────────────────────

全ての事業主は、従業員の一定割合(=法定雇用率)以上の障害者を雇用す
ることが義務付けられています。民間企業の法定雇用率は2.3%ですから、労
働者43.5人以上の事業主は障害者の雇用義務があります。

■ 障害者雇用納付金制度 ────────────────────────

法定雇用率を下回っている常用労働者100人超の事業主は、法定雇用障害者
数に不足する人数に応じて、障害者雇用納付金を徴収されます。

納付金は不足1人当たり月額5万円です。

法定雇用率を上回る場合は、事業主の申請に基づき調整金が支給されます。
調整金は超過1人あたり月額2万7千円です。

■ 認定制度「もにす」 ────────────────────────

中小事業主(常時雇用労働者数300人以下)の障害者雇用の取り組みを促進
するため、障害者雇用が優秀な中小事業主は認定を受けられます。

雇用不足数がゼロであって、障害者を1人以上雇用している中小事業が、障
害特性に配慮した環境づくり等について評価項目ごとに採点し、一定以上の得
点がある場合、障害者雇用 中小事業主認定(愛称「もにす」)を受けること
ができます。

もにす認定を受けると自社製品等に認定マークを付することができます。

■ 障害者雇用率未達成の場合の行政指導 ──────────────────

事業主は、毎年6月1日、障害者の雇用状況を厚生労働大臣に報告しなければ
なりません。法定雇用率未達成企業は、障害者の雇入れに関する計画の作成を
命じられます。

計画を作成した事業主が、その実施状況が悪い場合には適正な実施を勧告され
ることがあります。

事業主が正当な理由なく勧告に従わないときは、公表するとされています。

■ 障害のある方の人権 ────────────────────────

障害者雇用促進法は、2006年に国連総会において採択された、障害者権利条
約(障害者の人権及び基本的自由の享有を確保し,障害者の固有の尊厳の尊重
を促進することを目的として,障害者の権利の実現のための措置等について定
めるもの)を署名したことが背景にあります。

日本は2007年に同条約に署名、2014年に条約は発効、障害者の権利の実現に
向けた取組が求められています。