飲酒運転した社員の懲戒

★★ 飲酒運転した従業員の懲戒 ★★

「休日に従業員が飲酒運転、自損事故を起こした場合、懲戒処分できるでしょ
うか」

飲酒運転は「あってはならないこと」ですが。

■ 重要ポイント ────────────────────────

私生活上で飲酒運転があったからといって直ちに会社が懲戒処分できるとは
限りません。

■ 懲戒とは ────────────────────────

会社は企業秩序を維持するために、服務規律や業務命令に違反した従業員に
懲戒処分をすることができます。

■ 懲戒の種類 ────────────────────────

懲戒には

(1)譴責(始末書の提出など)

(2)減給

(3)出勤停止

(4)降格

(5)懲戒解雇

などの種類があります。

■ 公務員の飲酒運転は懲戒免職も ────────────────────────

警察官や学校教諭、消防局員などの公務員が飲酒運転し事故を起こしたりす
ると懲戒免職などの処分になり新聞記事になります。公務員には社会的な責任
が問われます。

公務員でなくとも飲酒運転はもちろんあってはならない行為ですが、会社が懲
戒できるのは基本的に、会社の服務規律違反や業務命令違反行為が対象です。

■ 飲酒運転のいろいろ ────────────────────────

私生活の行為でも会社所有の車両を運転していた場合は、会社の服務規律違
反に関係してきます。

公務員でなくても、新聞社の支局長、弁護士、銀行の支店長、航空会社の操
縦士などが飲酒運転をした場合は法令順守が厳しく求められる立場なので、程
度により懲戒処分されています。

■ 飲酒運転の懲戒の判断要素 ────────────────────────

飲酒運転といっても事故を起こしていない場合は?少し飲んだだけではどう
か?など疑問がわきますが、判断要素としては次のように考えられています。

(1)飲酒量及び運転時の呼気中アルコール濃度

(2)事案がテレビ・新聞等のメディアで報道されたなどの事情

(3)当該飲酒運転により人身事故など重大な結果を発生させたか否か

(4)当該非違行為者の勤務する会社がバス、タクシー、貨物運送等の運送業
を営む会社であるか否か

(5)運送業を営む会社である場合、当該非違行為者が運転業務に従事する者
か否か

「懲戒処分の基本と実務」

(中央経済社 石嵜信憲、岸聖太郎、豊岡啓人)p170

■ 道路交通法の改正 ────────────────────────

4月1日から道路交通法の改正によりアルコールチェックが義務化されます。

義務化の対象は「安全運転管理者選任事業所」として規定されている事業者
です。

飲酒運転はますます社会的に許されないものになってきています。