年度更新 申告の注意点

★★ 年度更新 申告の注意点 ★★
毎年6月1日から7月10日までに申告する労働保険。

今年度は10月1日から雇用保険料率が変わるので、概算保険料の書き方で気を
つけなければならないことがあります。

■ 重要ポイント ────────────────────────

年度の途中である10月から雇用保険料率が上がるのに伴い労働保険の概算保
険料の計算は注意がいります。

■ 労働保険の年度更新とは ────────────────────────

労災保険と雇用保険をあわせて労働保険といいます。

事業主は前年度(4月から3月)に支払った賃金額を集計して労働保険料を確
定させ、新年度の概算保険料と一緒に申告納付します。

労災保険の対象者はパートタイマーやアルバイトを含むすべての労働者です。
雇用保険の対象者は事業主や取締役を除く労働者です。

■ 保険料率の改定 ────────────────────────

今年度 労災保険料率に変更はありません。

雇用保険料率は変更があります。

雇用保険料率は一般の事業、農林水産・清酒製造の事業それに建設の事業の
3種類で異なっています。

それぞれ4月1日から事業主が負担する雇用保険2事業に係る保険料率が3種類
の事業で0.5/1000上がります。労働者負担分については変更がありません。

10月1日になると労働者負担分がそれぞれ2/1000ずつ上がり、労働者と同額
負担する事業主負担分も同様の2/1000ずつ上がります。

■ 令和3年度と4年度の雇用保険料率の違い ────────────────────

令和4年4月1日から9月30日まで一般の事業の雇用保険料率は9.5/1000(3年
度は9/1000)、農林水産・清酒製造の事業は11.5/1000(3年度は11/1000)、
建設の事業は12.5(3年度は12/1000)となります。

令和4年10月1日から令和5年3月31日まで一般の事業の雇用保険料率は
13.5/1000、農林水産・清酒製造の事業は15.5/1000,建設の事業は16.5/1000に
アップします。

■ 概算保険料の出し方 ────────────────────────

労働保険の概算・確定保険料の申告書は通常、保険料率が記載されたものが
郵送されてきます。雇用保険料率が9/1000であれば雇用保険の料率のところに
9.00と記載されています。保険料率の変更がなければ確定保険料と概算保険料
は同じ金額になります。

今年度のように保険料率が半年後に変わる場合はどのように概算保険料を計
算するかが問題となります。

■ 概算保険料の申告書の雇用保険料率は空欄 ────────────────────

概算保険料を記載する箇所の雇用保険料率の欄について今年度は空白になっ
ています。半年で変わるからです。

確定保険料を算出するにあたって令和3年4月から令和4年3月までの1年間の
雇用保険対象者の賃金を集計します。3年度はこの集計した金額に3年度の保険
料率を掛けて保険料額を確定させます。(いつもと同じ)

概算保険料の計算は、3年度の賃金の集計額を1/2にして4年度前半の保険料
率を掛けたものと、3年度の賃金の1/2に4年度後半の保険料率を掛けたものを
それぞれ算出します。あとから合計し、雇用保険の概算保険料の欄に記載しま
す。

申告書に半年ずつの数字を記載するところはありません。賃金の集計表で数
字を導き出して結果の数字のみを申告書に記載します。

■ 2分の1の数字に端数が出るとき ────────────────────────

保険料算定基礎額を2分の1にしたときに端数が出るときは前半に端数を切り
上げ、後半に端数を切り捨てます。

3年度に確定した賃金の前半部分、後半部分を概算保険料の算出に使うのでは
ありません。

■ 10月からは被保険者負担が増額に ───────────────────────

一般の事業に従事している人の場合、9月までの雇用保険料率は3/1000です
が、10月からは5/1000になります。20万円の給与総額の場合、雇用保険料が
600円から1,000円になるということです。

食料品が相次いで値上げされていますが、雇用保険料までもということにな
ります。