★★ 最低賃金を払っていますか ★★
最低賃金が平均で31円、またこの秋から上がると伝えられています。
以前は最低賃金を上回っているなんて当たり前でしたが、ここ数年、大幅に
引き上げされています。まさかとは思っても今一度最低賃金のチェックをして
みませんか。
■ 重要ポイント ────────────────────────
最低賃金以下の金額を約束した労働契約は無効となり、最低賃金まで引き上げ
られます。
最低賃金以上の賃金を支払わない場合、使用者は罰則を科されます。
■ 最低賃金法 ────────────────────────
最低賃金法ができたのは昭和34年です。昭和22年制定の労働基準法第28条は
現在、
「賃金の最低基準に関しては、最低賃金法の定めるところによる。」となって
います。
最低賃金法は平成19年に大きな改正がありましたが、法の目的について、次
のように定めています。
「この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障すること
により、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的
向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に
寄与することを目的とする。」
■ 最低賃金の対象となる賃金 ────────────────────────
最低賃金の対象となる賃金は、通常の労働時間、労働日に対応する賃金に限
られます。
ですから
1 臨時に支払われる賃金
2 賞与
3 時間外手当、休日労働手当、深夜労働手当
は除かれます。
基本給と諸手当が最低賃金の対象ですが、諸手当のうち
1 精皆勤手当
2 通勤手当
3 家族手当
は除外されます。
■ 最低賃金のチェック方法 ────────────────────────
給与の支払い方法に応じて以下のように時間当たりの賃金を計算し、確認しま
す。
(1)時間給の場合
時間給≧最低賃金額
(2)日給の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額
(3)月給の場合
月給÷1か月平均所定労働時間≧最低賃金額
(4)上記(1)、(2)、(3)の組み合わせの場合
基本給が時間給制で職務手当が月額制などの場合は、それぞれ(1)、(3)
の式により時間額に換算し、それらを合計したものを最低賃金額と比較します。
■ 固定給と歩合給の場合は ────────────────────────
出来高に応じて支払う歩合給であれば最低賃金は関係ないでしょうか?
歩合給の場合も最低賃金のチェックは必要です。
【 固定給+歩合給 】の場合の計算例
固定給を所定労働時間で割り固定給部分の時間給を出します。
歩合給を実際に働いた総労働時間で割り歩合給部分の時間給を出します。
固定給部分の時間給と歩合給部分の時間給を足した金額が最低賃金以上で
ある必要があります。
例えば固定給が85,000円で所定労働時間が170時間、歩合給が80,000円で月
間総労働時間が200時間だったとします。
85,000÷170=500
80,000÷200=400
固定給部分の500円と歩合給部分の400円を足して900円となります。
歩合給部分は実際に働いた(残業時間を含む)総労働時間で割ります。
この金額が該当地域の最低賃金以上であればOKです。
■ 最低賃金を支払わないと ────────────────────────
最低賃金より低い賃金を労使の合意の上で定めても、最低賃金法によって無
効とされます。いくら合意があったとしても、最低賃金まで引き上げられます。
最低賃金には強い効力があるのです。
最低賃金以上の賃金額を支払わない場合には、罰則(50万円以下の罰金)が
定められています。