健康診断あれこれ

★★ 健康診断あれこれ ★★

「久しぶりに新規採用をします。就業規則では健康診断書の提出を求めている
のですが求めてもよいのでしょうか・・・」

御社では社員の採用時に健康診断書を求めていますか?

毎年の定期健康診断を拒む社員はいませんか?

会社の健康診断はなんのためにするものなのでしょう。

■ 重要ポイント ────────────────────────

採用時にあたって健康診断書を求めることは認められています。

定期健康診断を受けてもらうためには、就業規則に定期健康診断受診の義務
を定めておくことが重要です。

異常の所見があれば、医師の意見を聞くことも忘れてはなりません。長時間
労働者には医師の面接指導も求められています。

 

■ 事業者に求められている健康診断 ───────────────────

健康診断については労働安全衛生法で事業者に義務付けられています。

1年に1回の「定期健康診断」のほか、常時使用する労働者を雇い入れたときに
「雇入れ時の健康診断」も求めています。

■ 雇入れにあたって健康診断書の提出を求めることはできるか ────────

採用選考において健康診断書を求めることはできますが、適性や能力の判断に
不要な肝炎ウイルス検査、血液検査はできません。

医師による健康診断を受けた後、3か月を経過しない者を雇い入れる場合でそ
の健康診断の結果を証明する書類が提出されたときは、その項目について雇入
れ時の健康診断を省略できます。

健康診断書(提出日前3か月以内に受診したものに限る)は求めるのがよいと
思います。

■ パートタイマーに健康診断は実施するのか ─────────────────

雇入れ時の医師による健康診断の実施は「常時使用する全ての労働者」で、次
の(1)及び(2)の要件を満たしたパートタイマー等も対象です。

(1) 期間の定めのない労働契約又は期間の定めのある労働契約であって
も当該契約の期間が1年以上であるか、1年以上使用されることが予定されて
いる者もしくは契約更新により1年以上引き続き使用されている者

(2) 1週間の労働時間数が当該事業場において、同種の業務に従事する通
常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること

■ 健康診断を拒否する従業員がいたら ───────────────────

定期健康診断や、一定の有害業務に従事する労働者に対する特殊健康診断は必
ず実施なければならないもので、罰則(50万円以下の罰金)があります。

労働者には法律上健康診断を受ける義務がありますが、労働契約上も健康診断
受診義務があるということを就業規則に規定しておくべきです。

就業規則に基づき健康診断を受けるよう命じたにもかかわらず労働者が拒否す
るのであれば、懲戒処分も可能となります。

■ 健康診断の費用は誰が負担するのか ───────────────────

法律で義務付けられている健康診断の費用は事業主が負担します。

また、事業主の実施する健康診断に代えて他の医師等による健康診断を受けた
場合の費用については、事業主による負担は不要と考えられています。

■ 異常の所見があった場合 ────────────────────────

健康診断の実施後、健康診断の結果を確認し、「異常の所見」があると診断さ
れた労働者には、医師の意見を聴取しなければなりません。必要により就業場
所の変更や労働時間の短縮等の措置を講じなければなりません。

労働基準監督署は医師の意見聴取については産業保健総合支援センター(さん
ぽセンター)の利用を勧めています。さんぽセンターは全国47の都道府県に設
置されています。事業所は無料で医師の意見を聴取することができます。さま
ざまな保健指導を受けることもできます。

■ 医師による面接指導 ────────────────────────

長時間労働による健康障害防止対策として、医師の指導による面接指導を実
施しなければならない場合があります。

時間外・休日労働が1月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる
労働者が、申出た場合、事業者は医師による面接指導を実施し医師の意見を聞
かなければなりません。

■ 面接指導に係る申出書の周知 ──────────────────────

会社は独自に「時間外・休日労働が1月当たり70時間以上」など、基準を定め、
労働者に医師の面接を推奨するなどの措置をとることを考えるべきでしょう。

労働者自らが面接指導を申し出ることには抵抗があると考えられるからです。

面接希望する労働者が申出できるためには、あらかじめ面接指導に関する書
式が整備されている必要があります。

「面接指導に係る申出書」を準備し申出窓口も決めておきましょう。申出に
対しては不利益に取り扱うことはない旨の周知も必要です。

面談後は医師の意見を勘案して、必要と認める場合は適切な措置を実施しま
しょう。

 

雇入れ時の健康診断、定期健康診断、長時間労働者への医師による面接指
導・・・

健康で働ける環境の整備がますます重要になってきています。