無意識の思い込みはありませんか

★★ 無意識の思い込みはありませんか ★★

会社を訪問して打ち合わせのとき、男性がペットボトルの暖かいお茶と紙コ
ップを持って来てくださった。

「男女の役割の見直しをしていて女性がすることが多かったお茶出しは各担
当者がすることにし、接客用のペットボトルの保温庫を購入しました」

皆様の会社ではいかがでしょう。

 

■ 重要ポイント ────────────────────────

無意識の思い込みが性別役割を固定化させ、男女共に働きにくくしていること
があります。

無意識の思い込みに縛られてはいませんか。

■ 内閣府の調査研究 ────────────────────────

内閣府男女共同参画局「平成4年度 性別による無意識の思い込み(アンコン
シャス・バイアス)に関する調査研究」(令和4年11月8日)をみてみます。

この調査は家庭・コミュニティ領域と職場領域での性別役割、その他性別に基
づく思い込みについて全国男女千人以上に41項目の設問をし、回答を分析して
います。

■ 性別役割の経験【男性】 ────────────────────────

この調査によると男性が性別に基づく役割を言われたあるいは感じた経験の上
位5項目は以下となっています。

(1) デートや食事のお金は男性が負担すべきだ(家庭)29.4%

(2) 男性は仕事をして家計を支えるべきだ(家庭)29.1%

(3) 男性は結婚して家庭をもって一人前だ(家庭)28.7%

(4) 家事・育児は女性がするべきだ(家庭)26.9%

(5) 女性は感情的になりやすい(その他)26.6%

次の項目も10位に入っています。
(10)受付、接客・対応(お茶出しなど)は女性の仕事だ(職場)23.7%

■ 性別役割の経験【女性】 ────────────────────────

同じ調査で女性の上位項目は以下となっています。

(1) 家事・育児は女性がすべきだ(家庭)40.8%

(2) 女性は感情的になりやすい(その他)36.2%

(3) 受付、接客・対応(お茶出しなど)は女性の仕事だ(職場)34.9%

(4) 親戚や地域の会合で食事の準備や配膳をするのは女性の役割だ
(家庭)34.7%

(5) 男性は仕事をして家計を支えるべきだ(家庭)34.6%

また8位には以下の項目が入っています。
(8)共働きで子どもの具合が悪くなった時、母親が看病すべきだ
(家庭)32.5%

■ 年代でも違う経験 ────────────────────────

調査は年代別の違いも出ています。

性別に基づく役割や思い込みを決めつけられた経験は男性よりも女性、かつ女
性でも年代が高いほど、その割合が高くなっています。

男性では60代がその他の年代と比較して高くなっています。

年代ごとに割合は減っているとはいえ20代女性でも「家事・育児は女性がする
べきだ」「受付、接客・対応(お茶出しなど)は女性の仕事だ」と役割を決め
つけられた経験のある人が多くなっています。

■ 家事・育児は女性がするべき? ────────────────────────

性別役割経験の自由回答は興味深いものでした。いくつか取り上げてみましょ
う。

「仕事探しの時期について、子どもの育児や家庭を優先させた方がよいと実母
や義母から言われた。夫は育児の場面で話にも出てこなかった。」(女性30
代)

「子どもが体調を崩した時、常に看病をしないといけない。夫からはお母さん
が看病してくれる方が子どもも嬉しいからと協力が得られない」(女性30代)

「実家で、お盆の配膳の手伝いをしたら、親戚に、それは、男のやることじゃ
ないと言われた」(男性40代)

■ 男性は育児休業がとれない? ────────────────────────

「第一子が産まれて育児休暇をとろうと妻に相談したところ、妻から育児休暇
はとらずに仕事して稼いできてといわれた」(男性30代)

「育児休暇を取得中です。法律のおかげで取得はできましたが、復帰が不安に
なるままになってます!」(男性30代)

「夫が育児休業をとろうとしたら、戻る場所ないよ?ヤル気ないの?お前そん
なだから仕事できないんだよ。家のことは嫁さんがするだろ?など、夫の会社は
実質的にとれない」(女性30代)

■ 接客は女性で、女性の仕事は評価されない? ───────────────────

「職場の人がお茶出しは女性がするものだと言っていた」(男性30代)

「来客があった際のお茶出しは女性からもらった方が嬉しいから出してと言わ
れた」(女性20代)

「仕事の開発グループのリーダーについて、同僚の女性の方が優秀なのに、男
性だからとの理由で私がなった」(男性40代)

■ 多様な働き方が求められているはず

女性が輝く社会などというスローガンもありました。

2020年までに社会の指導的地位に占める女性の割合を30%にする目標もありました。
(この目標は達成できず、2020年代の可能な限り早期にと変更し先送りされて
います。)

営業職は男性、事務は女性・・・そんなキマリはありません。

無意識の思い込みが多様な働き方を妨げていることは多いようです。