教育訓練・正社員で助成金

★★ 教育訓練・正社員で助成金 ★★

毎年4月に見直される助成金。

今年は、高度デジタル人材やリスキリング等の推進をしようとしています。

ただ、これは中小企業にはハードルが高いようです。

有期契約労働者に訓練をして助成金をもらい、その後正社員にして助成金を
もらうという助成金は今年度もあります。変更点に注意して申請しましょう。

■ 重要ポイント ────────────────────────

有期実習型訓練をして、正社員に転換して助成金を受給しよう。

 

■ 雇用関係の助成金の大きな変更点 ───────────────────

(1)生産性要件が廃止に

生産性要件は2023年の3月31日をもって廃止となりました。

たとえばキャリアアップ助成金正社員化コースでは生産性がアップだと72万円、
生産性要件を充たさないと57万円などでしたが、57万円だけになりました。

(2)雇用調整助成金の特例が廃止に

コロナ禍で多くの企業が利用した雇用調整助成金の特例はほぼ廃止されました。

(3)電子申請ができるように

助成金の申請も雇用関係助成金ポータルで電子申請が一部出来るようになりました。

 

■ 有期実習型訓練 ────────────────────────

有期契約労働者にOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練を行うと助成金がもらえます。

以前からあるこの助成金は人材開発支援助成金のなかの人材育成支援コース
(3種類ある)のひとつとして整理されました。

人材育成支援コースの申請はすべて「職業能力開発推進者」の選任と「事業内
職業能力開発計画」の策定をしなければならなくなりました。

■ 職業訓練実施計画届 ────────────────────────

いつからいつまで何時間、どのような訓練をするのか、「職業訓練実施計画
届」を事前に作成します。訓練カリキュラムの作成も重要です。

有期契約労働者である訓練受講者は「ジョブカード」を作成し、キャリアコン
サルティングを受ける必要があります。

■ 訓練の実施 ────────────────────────

その後はカリキュラムに沿って有期契約労働者は企業内のOJTと教育訓練機関等
で行われるOFF-JTを受講します。OFF-JTの最低訓練時間は10時間です。

訓練終了後は受講者について評価を実施します。

訓練は2か月以上でOJTとOFF-JTが組み合わされていなければなりません。

■ 有期実習型訓練の助成金の額 ──────────────────────

助成金は訓練に要した経費の助成、1人1時間当たりの賃金の助成、OJT実施助
成に分かれています。

経費助成はかかった経費の60%(正社員転換の場合は70%)です。
OJTの実施については訓練時間にかかわらず10万円(中小企業以外は9万円)
です。

OFF-JTに要した時間についてのみ賃金の助成があり、1時間760円(中小企業以
外は380円)です。(頑張って訓練を受けても助成金額は以前のように多くな
らない…)

■ キャリアアップ助成金の正社員化コース ────────────────

正社員化の助成金では事前に「キャリアアップ計画書」を労働局に出しておく
ことや、計画の内容などは変化がありません。

正社員への転換規定がある就業規則を整備しておくこと、就業規則に基づいて
正社員化をすること、賃金が転換の後で3%以上増額となっていることなども
前年度と変わりはありません。

■ 訓練終了後正社員転換した場合の加算 ─────────────────

正社員化コースの助成金額は中小企業57万円、中小企業以外は425,500円です
が、有期実習型訓練の終了後に正社員化した場合、95,000円の加算があります。

「勤務地限定・職務限定・短時間正社員」制度を新たに規定し、当該雇用区分
に転換等した場合、95,000円(中小企業以外は71,250円)の加算があります。
(1事業所当たり1回のみ)

■ 正規雇用労働者の定義 ────────────────────────

助成金の申請では、正規雇用労働者の定義が次のようになっています。

同一の事業主に雇用される通常の労働者に適用される就業規則に長期雇用を前
提として「賞与又は退職金制度」の実施および「昇給」の実施が規定され、当
該規定が適用されている労働者。
(キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版))のp8)

期間の定めのない労働契約を締結しただけでは正規雇用労働者ではありません。

■ 有期契約労働者の労働条件通知書の注意点 ───────────────

有期労働契約では契約更新の有無の記載と更新ありの場合の判断基準を書かな
ければなりません。更新条項は必ず書くように指導していると新潟の助成金セ
ンターの話でした。

また、有期労働契約であらかじめ正社員になることを約束している一文がある
と助成金の対象となりません。契約書の書き方には十分注意が必要です。
■ 計画届の1本化 ────────────────────────

今年度から、人材開発支援助成金の訓練後に対象労働者を正社員化し、キャリ
アアップ助成金の正社員化コースを申請する予定の事業主は、「訓練実施計画
届」の」作成・届出をもって、キャリアアップ助成金における「キャリアアッ
プ計画」とみなすことができるようになります。

■ まとめ ────────────────────────

有期実習型訓練はOJTが10万円に固定されるなどで助成金額が減りましたが、
正社員化コースの助成金とうまく組み合わせることで社員の育成と定着に使え
ます。

もちろん正社員化コースだけの申請も可能です。