育児目的休暇をつくろう

★★ 育児目的休暇をつくろう ★★

「残っている年次有給休暇を使って生まれたばかりの子の育児にかかわりたい
という社員がいます。育児休業を取得したことならないのですよね?」

はい、年次有給休暇を育児のために使っても育児休業を取得したことになり
ません。
ではどうすれば・・・

■ 重要ポイント ────────────────────────

育児目的休暇を有給で4日付与すると育児休業の取得となります。

会社には助成金がもらえ(大企業は除く)、男性の育児休業取得率が上がります。

子どもが生まれた男性社員に喜ばれます。
仕事のやる気が上がります!(多分)

■ 育児休業とは ────────────────────────

育児休業とは1歳に満たない子どもの養育のための休業のことです。

育児のために休んでも法定の年次有給休暇の取得として処理した場合、育児休
業とは言いません。

両立支援助成金(出生時両立支援コース)は男性の育児休業を推進するための
助成金ですが、「助成金の支給対象は、育児・介護休業法に基づく育児休業の
取得であり、労働基準法に基づく年次有給休暇の取得として取り扱われている
場合、支給対象とならない。」という取扱です。

■ 男性の育児休業の現状 ────────────────────────

最新(2021年度)の統計で、男性の育休取得率は13.97%です。取得率は急上
昇しているとはいえ、男性は2週間以内が50%、5日未満が25%と短い期間です。

女性の育休取得率は85.1%でそのうち90%以上の女性は6か月以上の取得期間です。

2023年4月1日から1000人を超える企業は「男性の育児休業等の取得率(割
合)」もしくは「育児休業等と育児目的休暇の取得率(割合)」の年1回公表
が義務付けられました。男性の育児休業の推進は、企業に強く求められている
のです。

男性の育休取得率の政府目標は高く、2025年度に50%、2030年度に85%を掲
げています。

■ 育児休業で給与が減るのは困る ────────────────────────

育児休業を取得した場合、働かない日については無給となり雇用保険から給付
がもらえます。休業期間によっては社会保険料も免除になるので、大きな給与
減額はないはず(?!)ですが、賞与は出勤日数が少ない分減額されることが
多いようです。賞与に影響しない年次有給休暇を使いたいという一つの原因に
なっていると思います。

そこでご提案したいのが、「育児目的休暇」を導入して育児休業を推進するこ
とです。

■ お勧めの育児目的休暇 ────────────────────────

育児目的休暇は義務ではなく、育児介護休業法で努力義務となっています。

お勧めしたいのは産前6週間から産後8週間までに取得できる4日間の有給の
育児目的休暇です。育児休業の取得が進み、助成金も申請しやすくなります。

■ 助成金が求める男性労働者の育児休業期間 ──────────────────

両立支援助成金(出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金))は「男性
労働者が、子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得する
こと」が要件です。

育児休業期間には所定休日(会社の休日である日)が含まれていてもよいので
すが、連続5日のうち所定労働日が4日以上含まれていることが必要です。

■ 育児目的休暇の<規定案> ────────────────────────

「子を6週間以内に出産する予定の従業員及びその配偶者並びに小学校就学の
始期に達するまでの子を養育する従業員は、配偶者の出産支援や育児のために
年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の
場合は1年間につき10日を限度として、育児目的休暇を取得することができる。
この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。

2.出産予定日前6週間から産後8週間の間に取得した育児目的休暇のうち4日
については有給とする。」

■ 育児目的休暇導入のメリット ────────────────────────

<規定案> は4日の育児目的休暇について有給休暇としました。

(1)有給でも社保は免除

育児休業期間が月末を挟んでいるときその月の社会保険料は免除されます。
育児休業をして休んでいれば有給であっても社会保険料は免除となります。
(労基法の年次有給休暇はダメ。このような育児のための特別な有給休暇は
OK)

(2)事務の軽減

目的休暇を有給にすると給付金の事務はない
育児休業給付金は雇用保険から支給されます。休業の長さにかかわらず給付金
の手続きは同じです。遡って6か月間の賃金登録、本人の口座番号の登録、休
業期間を確認して給付金の手続き・・・この事務がなくなれば、業務効率化に
もつながるでしょう。