★★ シフトパターンは明確ですか? ★★
サービス業の店舗勤務では、「シフトにより勤務する」ことがよくあります。
シフト勤務の場合は気を付けなければならないことがあります。
■ 重要ポイント ────────────────────────
1カ月の変形労働を採用し、シフト勤務(始業時刻・終業時刻の違う日が数種
類あって組み合わせる勤務)の場合はシフトパターンをすべて就業規則に記載
しておかなければなりません。
■ 1か月単位の変形労働時間制で求められること ───────────
労働基準法では1か月ごとにシフトにより勤務することを一定の条件の下で認
めています。
1か月単位の変形労働時間制を導入するには
(1) 対象労働者の範囲
(2) 対象期間・起算日
(3) 労働日・労働日ごとの労働時間
を定める必要があります。
■ シフトパターンはすべて記載しなければならない ──────────
日本マクドナルドでは、就業規則で勤務シフトを4パターン定め、「原則とし
て」と記載、店舗ごとに別のシフトパターンで運用していました。
会社側は、「全店舗(直営864店)に共通するシフトを設定することは不可能。
各店舗のシフトは就業規則に準じている」と主張しました。
名古屋地裁判決は「就業規則で定めていない店舗独自の勤務シフトは、労働基
準法の要件を満たしていない」とし、事業規模によって例外が認められるもの
ではないとしました。
■ 変形が認められないと ────────────────────────
1か月単位の変形労働時間制は、求められている要件を満たした場合に、1週40
時間、1日8時間を超えても時間外労働として割増賃金を支払わなくてもよい制
度です。
名古屋地裁判決では変形労働時間制が無効となったため、原則の法定労働時間
が適用され、未払い賃金の支払いが命じられました。
■ 期間途中のシフト変更は認められるのか ─────────────────
サービス業ではあらかじめ作成したシフト表を変更したくなることがあるかと
思います。
変形期間を平均し、週40時間の範囲内であっても使用者が業務の都合によって
任意に労働時間を変更することは認められません。ここにも注意が必要です。
■ 未払賃金の請求 ────────────────────────
変形労働時間制が認められないと未払賃金が発生することになります。
賃金の時効は3年になっています。
シフト制を採用している会社では就業規則の規定と運用、賃金の支払に問題が
ないか、いま一度確認しましょう。