労使協定あれこれ

 カレンダーが新しくなるのに合わせて、1年単位の変形労働時間制の協定を締結、届出する会社が数多くあります。一緒に36協定を出すようにしている会社も多いです。
  36協定などはおなじみの労使協定ですが、労働基準法では14の場合について労使協定を求めています。労使協定のなかには監督署に届出が必要なものとそうでないものがあります 

 重要ポイント

 労使協定は、法定義務が免除されたり免罰効果があったりする重要な役割があ
ります。

 社内預金を管理するときの協定(労基法18条)

 労基法は使用者が労働者の賃金を強制的に貯蓄させることを、全面的に禁止し
ています。労使協定を締結し、行政官庁に届出をすれば使用者が貯蓄金を預か
ることが認められます。

 社内預金の場合、協定に定めることは以下です。

 (1)預金者の範囲

 (2)預金者一人当たりの預金額の限度

 (3)預金の利率および利子の計算方法

 (4)預金の受け入れおよび払い戻しの手続き

 (5)預金の保全の方法

 賃金から親睦会費などを控除するときの協定(労基法24条)

 賃金は、通貨で直接労働者に、その全額を支払わなければなりません。

 税金と社会保険料は法令により控除が許されていますが、物品の購入代金、旅
行積立、組合費、親睦会費などを賃金からさし引いて払うときには、

 (1)控除の対象となる具体的な項目

 (2)(1)の各項目別に定める控除を行う賃金支払日

を労使協定により定めなければなりません。

 この賃金控除の協定は、行政官庁への届け出は不要ですが、結んでないと従業
員とトラブルになりかねませんので、実務では重要な協定です。

 1カ月単位の変形労働時間制を採用するとき(32条の2)

 1カ月単位の変形労働時間制を採用するには、事業場の労使協定の締結・届出
又は就業規則その他これに準ずるものの規定が必要です。

 労使協定には以下を記載し届け出ます。

 (1)対象となる労働者の範囲

 (2)変形期間

 (3)変形期間の起算日

 (4)変形期間を平均し1週間当たりの労働時間が

    週法定労働時間を超えない定め

 (5)変形期間における確実・各州の労働時間

 (6)有効期間

 フレックスタイム制を採用するとき(32条の3)

 フレックスタイム制とは、労働者が1カ月以内の一定の単位期間において一定

時間数労働することを条件として、始業・終業時刻を労働者が自由に選択でき
る制度です。

 届出は不要ですが、以下を定めなければなりません。

 (1)対象となる労働者の範囲

 (2)清算期間

 (3)清算期間における総労働時間

 (4)標準となる1日の労働時間
 (5)コアタイムを定める場合はその時間帯の開始および終了時刻

 (6)フレキシブルタイムを定める場合はその時間帯の開始および終了時刻

 1年単位の変形労働時間制を採用するとき(32条の4)

 1年単位の変形労働時間制とは、労使協定を締結することにより、1カ月を超
え1年以内の一定期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範
囲で特定された週において40時間、特定された日において8時間を超えて労働
させることができるものです。以下を定めて届出をします。

 (1)対象となる労働者の範囲

 (2)対象期間・起算日

 (3)対象期間における労働日及び当該労働日ごとの所定労働時間

 (4)特定期間

 (5)有効期間

 時間外労働・休日労働をさせるとき(36条)

 残業のときは以下の事項を協定し、様式9号という所定の様式により労基署
に届出ます。36協定は届出により効力が生じる(時間外労働・休日労働が認め
られる)ものです。

 (1)時間外又は休日労働をさせる必要のある具体的事由

 (2)業務の種類

 (3)労働者の数
 (4)1日および1日を超える一定の期間についての延長することができる時間

 (5)労働させることができる休日

 (6)有効期間

 事業場外のみなし労働時間制を採用するとき(38条の2)

 外勤営業員や記者など事業場外で業務に従事する労働者の労働時間の算定
が困難であるとき、一定の労働時間労働したものとみなすという制度です。次
の事項定め、届出ます。

 (1)当該事業の業務に「通常必要とされる時間」として定める時間

 (2)有効期間

 専門業務型裁量労働のみなし(38条の3)

 専門業務型裁量労働制とは労基法で定められた専門性の高い業務について
労使協定によりみなし労働時間等を定めた場合、その業務を行う労働者につい
ては、実際に労働した労働時間数に関係なく協定で定める時間労働したものと
みなす制度です。以下のように健康確保措置などの細かなことも定めが必要で
す。

 (1)対象業務

 (2)対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間

 (3)対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、

    当該業務に従事する労働者に対し使用者が具体的な指示をしないこと

 (4)健康・福祉を確保するための措置の具体的内容

 (5)苦情処理のため実施する措置の具体的内容

 (6)有効期間

 (7)(4)及び(5)に関して労働者ごとに講じた措置の記録を

    協定の有効期間及びその期間満了後3年間保存すること

 その他の協定 

 そのほか、以下の場合にも労使協定が必要です。

 ・1週間単位の非定型的変形労働時間制を採用するとき

 ・交替制など一斉休憩によらないとき

 ・月60時間超の時間外労働をさせた場合の代替休暇制度を設けるとき

 ・年次有給休暇を時間単位で与えるとき

 ・年次有給休暇の計画的付与を行うとき

 ・年次有給休暇取得日の賃金を

  健康保険の標準報酬日額で支払う制度によるとき



 協定を結ばずにフレックスタイム制を採用しているようなことはありませんか。






そ の 他 の 記 事

 ト ピ ッ ク ス 確定拠出年金の利用対象者の拡大  平成29年1月1日以降

 確定拠出年金は平成13年10月にアメリカの401kという制度を参考に作られ、日本版401kとも呼
ばれています。確定拠出年金には企業型と個人型があります。

 個人型の確定拠出年金の対象者は、自営業者などの第1号被保険者と第2号被保険者のうち企業年
金のない会社員に限られていました。平成29年1月からは、公務員や主婦、企業年金のある会社員
などすべての現役世代が加入できるようになります。

 個人型確定拠出年金は、自分で銀行や証券会社などの運営管理機関を選んで申し込み加入するも
のです。掛け金は月5,000円からですが、掛け金の支払額は所得税や住民税の対象になる所得から
まるまる差し引くことができます。所得税や住民税が安くなるのです。

 積み立てたお金は、定期預金や保険商品、投資信託などの金融商品を自分で選び、長期に複利運
用で増やしていき、60歳以降に受け取るという仕組みです。

 節税しながら老後の資金準備ができるという制度、加入者は増えると見込まれています。

 労務のことば   ~パートタイマーの労働条件明示~

 パートタイマーに対しては労基法の労働条件明示とは別に、次の事項の明示が義務付けられています。

 ①昇給の有無 ②退職手当の有無 ③賞与の有無 ④相談窓口

 違反には10万円以下の過料が科せられます。

 【スタッフからひとこと】  休日に残業をすると・・

 休日労働が8時間を超えた場合、時間外手当はつくのでしょうか?

 法律上、休日手当の35%増しのままで時間外手当は、つけなくても大丈夫です。

 しかし、休日労働で深夜時間(午後10時から午前5時)の場合は、35%+25%で60%増しになります。

 この休日労働とは法定休日(1週間に1回、ないしは4週間に4回以上の休日)の労働のことです。

【 男性の育休で助成金、わが社は・・・ 】  業務日誌  12月○日

 「うちの会社でも2月に子どもが生まれる予定の男性社員がいるので、先日(12月19
日)のメルマガの記事が当てはまるような気がする・・・」とある会社の社長さんから連絡が
入りました。男性の育休で助成金(出生時両立支援助成金)がもらえるという記事です。

 まだ若い会社で、数か月前に就業規則を整備したところでした。該当者は、会社設立
からのメンバーだといいます。

 若い社員が多く、産休・育休とも実績はないのですが、会社としては男性も女性も育児
休業取得を推進したいし、先輩社員が休暇を取得する実績があれば、若い社員の取得
にもつながると思うということでした。

 出生時両立支援助成金は、過去3年以内に男性の育児休業取得者が出ている事業主は対象外です。
 支給対象となるのは、1年度につき1人までですが、男性の育休1人目が60万円、2人目以降は15万円と
なっています。メルマガでは1人目のことしか触れませんでしたので、2人目以降の加算をお話しすると、あ
るかもしてないなあ、とおしゃっていました。メルマガの情報提供がお役にたてた、嬉しい出来事でした。