65歳超雇用を考える

★★ 65歳超雇用を考える ★★

今年も敬老の日に高齢者が増えていることが伝えられました。

「日本の65歳以上(高齢者)の人口は2018年9月15日時点で3557万人となり、総
人口比は28.1%となることが分かった。総人口に占める割合が1/4を超えたの
は2013年から継続して6年目連続となり、前年からさらに人口・割合ともに数
字を上乗せし、過去最高となった」

増え続ける高齢者ですが、働き方改革の施策においても「高齢者の就業促
進」はとりあげられています。

■ 重要ポイント ────────────────────────

働き方改革の施策のひとつに高齢者の就業促進があります。

65歳超の雇用には助成金の制度もあります。

65歳超年齢までの継続雇用制度の導入を検討されてはいかがでしょう。

■ ますます進む高齢化 ────────────────────────

「総人口が減少する中で65歳以上の者が増加することにより高齢化率は上昇
を続け、平成48(2036)年に33.3%で3人に1人となる。平成54(2042)年以降
は65歳以上人口が減少に転じても高齢化率は上昇を続け、平成77(2065)年に
は38.4%に達して、国民の約2.6 人に1 人が65歳以上の者となる社会が到来す
る」

平成30年版高齢社会白書(内閣府)

世界でも例のない高齢者ばかりの日本になるのです。

■ 65歳と社会保障 ────────────────────────

高年齢者雇用安定法の改正で、企業には継続雇用を希望する者全員に65歳まで
の雇用が義務付けられています。

65歳で企業を退職したサラリーマンは、無職となり、老齢基礎年金と老齢厚生
年金が受給できるという社会保障です。

モデル年金は、夫の厚生年金を月10万円余、夫婦の基礎年金を月6.7万円ずつ
程度に設定、月額約23万円程度の世帯収入を想定しています。

65歳までは働いて、65歳からは年金でという社会保障なのです。

モデル年金では女性の就労は前提とされていません。

■ 働く意欲が高い高齢者 ────────────────────────

100歳以上の高齢者が全国に6万人以上もいて、人生100年時代といわれる現在、
65歳で区切る社会保障は時代に合わない維持不可能なものになっています。

「現在仕事をしている60歳以上の者の約4 割が「働けるうちはいつまでも」働
きたいと回答。70歳くらいまでもしくはそれ以上との回答と合計すれば、約8
割が高齢期にも高い就業意欲を持っている様子がうかがえる」

(前掲高齢者白書)

■ 働き方改革の施策と高齢者雇用 ─────────────────────

企業にとって働き方改革で求められているのは労働時間の上限規制や、年次有
給休暇の付与義務ばかりではありません。

高齢者の就業促進が課題に掲げられ、継続雇用延長・定年延長の支援と高齢者
の就労マッチング支援が進められようとしています。

65歳を超えても働きたい高齢者が7割もいるのに対し、実際の就業比率が低い
現状であること、高齢者の希望する働き方は「非正規雇用」が7~8割で、希望
する月収は「10万円未満」が過半であると報告されています。

(首相官邸HP「働き方改革実行計画工程表」)

■ 工程表にみる高齢者雇用の支援策 ────────────────────

工程表では2020年度までが集中支援期間になっています。

65歳を超える継続雇用や、65歳までの定年引上げ等を支援する助成措置を強化
し、ハローワークにおいては65歳以上が就業可能な短時間の求人開拓を強化す
るとしています。

■ 65歳超の雇用と助成金 ────────────────────────

65歳超雇用を推し進める企業には助成金が支給されます。

定年を65歳までに引き上げたり、66歳以上に引き上げたり、定年の定めを廃止
したりすると助成金が受給できます。

60歳以上の被保険者数と何歳引き上げたかによって、受給額に違いがあります。
たとえば60歳以上被保険者数が3~9人の企業で、66歳に定年を引き上げると12
0万円がもらえます。

希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度を導入した場合にも助成金が
受給できます。60歳被保険者数が3~9人の会社で69歳まで4歳継続雇用の年齢
を引上げると60万円もらえます。

助成金を活用しての継続雇用制度の導入はオススメです。

■ 最近の雇用保険を巡る動き ────────────────────────

2017年に雇用保険法の改正がありました。それまでは65歳以上の高齢者は、雇
用保険の被保険者になれませんでしたが、改正後は新規に加入できるようにな
りました。65歳を過ぎて雇用され雇用保険に加入して、1年以上働けば、雇用
保険から一時金がもらえます。

2020年3月までは毎年4月1日時点で満64歳以上の労働者の雇用保険料は免除さ
れます。

■ 最近の年金をめぐる動き ────────────────────────

公的年金には繰上げ・繰下げの制度があります。

原則65歳の支給ですが、66歳から70歳まで任意の時期に繰下げを希望すると本
来もらえる金額より割増しされた年金が受給できます。(70歳まで繰下げると
42%増しに)

この繰下げについて「65歳より後に受給を開始する繰下げ制度について、積極
的に制度の周知に取り組むとともに、70歳以降の受給開始を選択可能とするな
ど、年金受給者にとってより柔軟で使いやすいものとなるよう制度の改善に向
けた検討を行う。」(高齢社会対策大綱)

65歳過ぎた働き方に柔軟で優しい制度が早く確立してほしいものです。

■ 65歳超継続雇用の課題 ────────────────────────

60歳定年はそのままで、継続雇用制度を65歳から3年くらい延ばして68歳に
してはいかがでしょう。65歳過ぎの希望する働き方は統計的に短時間勤務で月
収10万円未満です。企業にとって有利に、労働条件を決められる可能性は高い
と思います。

65歳以上人口の男女比は3対4です。

意欲ある女性の65歳超雇用は検討する価値があると思います。