財布のいらない国、中国

★★ 財布のいらない国、中国 ★★

現金を扱うサービス業では、現金の管理業務が何かと大変だ。

売り上げと現金が合わないのはよくあること、おつりのミスか?盗難か?
従業員の不正?

現金を使うことによるテマヒマを一気に解決できる方法、それが電子決済だ。

カードを持てるのは一部の人で、現金なしでは暮らしにくい日本。

ところが中国では!

上海視察旅行の買い物の一端をご紹介します。

■ 重要ポイント ────────────────────────

中国上海では小さな個人商店にまで電子決済が普及し、財布を持たない生活が
ふつうになっている。キャシュレスが生活の利便性を高めているのは確かだ。

■ 「私は現金を持ち歩きません」 ────────────────────

上海視察旅行でガイドをしてくれた金さんは、
「スマホがあればどこでも早く買い物ができるので、現金は持ち歩きません」
と言います。

大きなスーパーでばかり買い物をしているからではありません。個人商店が集
まっている市場の八百屋さんや、魚屋さん、肉屋さん・・・すべてキャッシュ
レスの買い物です。現金での買い物ができないことも多いようです。

■ 現金なしの買い物 ────────────────────────

魚屋さんの店先の柱には大きなQRコードが貼り付けてあります。

ドジョウのような魚、白くて1メートルもありそうな長―い形の魚、上海ガニ・・・

それぞれのケースには価格の数字が表示されています。この辺りは日本と同じです。
(ちなみに1元は16.5円でした)

量り売りで買い物をしたあと、買い手がスマホに価格の数字を入力、自分のス
マホを店のQRコードにかざしてカチッ。こうするだけで本人の銀行口座から間
違いなく店に入金されるのです。記録が確実にデータとして残るので、領収書
も発行されません。不正の起こりようもありません。

決済は同行していただいた上海在住の日本人のかたが代表して行ってください
ました。残念ながら旅行者がこのようなキャッシュレス決済を行うのは銀行口
座の関係で難しいようです。

■ キャシュレス生活の利便性 ──────────────────────

上海在住21年の日本人Kさんは食品の宅配サービスも毎日のように利用してい
るといいます。当日の注文も、生鮮食品から調理された品物までバイク便で届
けてもらえるので、いつも冷蔵庫はスカスカ状態だと。

支えているのは、キャッシュレス決済だといえるでしょう。

Kさんによると中国の医療事情は悪く、医療機関に行くと受付で待たされ前金
を払って(保険制度未成熟)簡単な診察を受けたあと、長く待たされて専門的
診療機関でまた前金を払って診察を受けるような状態でした。

医療においても急速にキャシュレスが進み、長い待ち時間は解消されつつある
ということでした。

■ 中国社会の電子決済 ────────────────────────

中国の電子決済の普及率は98%。アリペイかウィチャットペイの2種類がほと
んどのように感じられました。

中国国内においては、アリペイ(アリババグループ)のシェアは50%、ウィチ
ャットペイ(テンセント)が40%ほかにユニオンペイ(中国ユニオンペイ)が
10%とだいいます。

■ シェア自転車 ────────────────────────

上海にはどこでも乗れて乗り捨て自由という、「シェア自転車」が発達してい
ました。

利用したい人はスマホで登録し、アプリをダウンロードしておきます。シェア
自転車にはGPSが組み込まれていて、QRコードがついています。

乗りたいときは事前にスマホで予約、乗るときは自転車についているQRコード
をスマホでスキャンし、自転車を解錠します。目的地についたらまたスマホで
鍵を掛けると利用が終わり、利用時間に応じてスマホ決済される仕組みです。
安価で世界に類のないシステムといわれています。

■ 現金はどうなるのか ────────────────────────

キャシュレスが進むことで生活の利便性が高まり、現金に関係するムダが相当
省かれることは間違いないように思います。反面、個人の行動や情報が管理さ
れることをどう考えていけばよいのかという課題は残ります。

アリペイができたのが2003年、ウィチャットペイは2013年。

猛スピードで中国はキャシュレス社会になっていました。

2012年3月の上海訪問では「偽札に気をつけて」といわれたのでしたが。