年休の付与義務

★★ 年休の付与義務 ★★

平成31年の4月から会社規模の大小にかかわらず、使用者には年次有給休暇の
付与義務が課されます。

具体的にはいつから何をすればよいのでしょう。

■ 重要ポイント ────────────────────────

労働基準法の改正で、使用者(会社)は、年次有給休暇が10日以上の労働者に
ついて、労働者ごとに時季を定めることにより有給休暇を与えなければなら
なくなります。

■ 10日以上付与されるとは ────────────────────────

年次有給休暇は入社してすぐに付与する必要は法律上ありません。

入社して半年経過し、所定労働日の8割以上出勤した労働者に10日の有給休暇
を与えなければなりません。

継続勤務してから6カ月経過した日を「基準日」といいます。

4月1日入社であれば、10月1日が基準日となりますから、使用者はその労
働者には10月1日から翌年9月30日までに、「時季」を指定して与える義
務があるのです。

「時季」とは、始期と終期を特定した「具体的時期」と「季節またはこれに相
当する3カ月程度の期間」の双方を意味する言葉です。

■ いつ付与するのが良いか ────────────────────────

使用者が有給休暇を付与するにあたっては、「労働者の意見を聴く」必要があ
ります。

時季指定の方法として、年度当初に労働者の意見を聴いたうえで年次有給休暇
取得計画表を作成し、これに基づき年次有給休暇を付与することなどが考えら
れます。(行政通達)

■ 繰越し分を消化した場合は ────────────────────────

年次有給休暇は労基法上前年度分を繰り越すことができます。前年度の未消化
の年休を消化した場合は付与したことになるのでしょうか。

基準日から1年以内に消化されているのであれば、前年度の消化分でも付与義
務は果たされていることになります。

■ 記録の作成・保存義務 ────────────────────────

従業員の多くが若年者の会社などでは、年次有給休暇の年5日は全員取得して
いるかもしれません。

そのような会社でもしなければならないことがあります。
年次有給休暇管理簿の作成です。

管理簿には労働者ごとに「時季」「日数」「基準日」を記載し、当該有給休暇
を与えた期間中及び当該期間の満了後3年間保存しなければなりません。

■ 基準日が4月1日より前の場合はどうなるか ────────────────

4月1日以外の基準日である労働者の年次有給休暇は、平成31年4月1日の法
律の施行日後の最初の基準日の前日までは、法の適用がありません。

■ 管理職も年休を取得すること! ──────────────────────

多くの会社では、管理責任を負っている管理職の年次有給休暇取得率が低いの
ではないでしょうか。また、20代などの若年者より年齢の高い者のほうが年
次有給休暇の取得率が低い傾向があると思います。

法の施行が数か月後に迫りましたが、まずは管理的な立場の方から積極的に有
給休暇の取得をされてみてはいかがでしょう。