ベトナム事情

★★ ベトナムの労働事情 ★★

外国人労働者の受け入れ問題が大きな議論となっています。

「ホーチミン視察ツアー」に参加し、ベトナムの風に触れてきました。

■ ベトナムの印象 ────────────────────────

ホーチミン市の道路は若い人たちが運転するバイクであふれていました。

9,500万人(2017年)の人口のベトナムで、バイクは6,000万台、庶民の移動に
欠かせない乗り物です。都市部を中心に車も走っていますが、車は庶民にはま
だ手が届かない乗り物で、380万台とか。

通勤や買い物の足としてはもちろん、休日には親子4人が1台のバイクに乗って
いる光景も。時には車の隙間もすり抜けてバイクが走っているホーチミンでし
た。

■ ベトナムの人口────────────────────────

現在は20代30代の年齢層の人口割合が高いベトナムですが、20歳未満の年齢層
の人口は減ってきていて、今後は少子化、高齢化が進むことが統計的に明らか
にされています。ベトナム統計局によると2015年の成長率は6.68%、2016年
6.21%、2017年6.81%と成長が続いているのがベトナムです。

68階建ての高層ビル、サイゴンスカイデッキにいき、ホーチミンの街を眼下に
見渡しました。
高層ビルがどんどん建設され、地下鉄の開通が待たれている街がホーチミンで
した。

首都ハノイとホーチミンは飛行機で2時間の距離にあります。
ホーチミンの人口は842万人, ハノイ738万人で、都市に人口が集中しています。

■ さまざまな国の影響を受けたベトナム─────────────────

ホーチミンを中心にバスの窓から見える建物には、中国風の寺院、フランス風
の教会などがあり、さまざまな国の影響が感じられました。日本軍の進駐、ベ
トナム戦争を経て1976年に南北統一・ベトナム社会主義共和国が成立しました。
社会主義国とはいえ、市場経済が導入されています。ソフト路線の社会主義国
です。

ベトナムの面積は33万平方キロメートルで日本の約9割、宗教は8割の人が大乗
仏教、識字率は97%とか。親日的で治安も良い国です。

日本で働くことに対する魅力は以前より薄れてきているとも聞きました。経済
成長が進み、自国が豊かになってきているからでしょう。

■ ベトナムの食生活────────────────────────

3食を外食(ローカルレストラン)でとることが多いホーチミン、価格は1食
150円~300円程度で、パクチーなどの香辛料を多く入れた麺類が好まれているよ
うでした。

観光客用のレストランでは直径20センチくらいもあるような球形の甘い揚げ餅
が美味でした。ベトナム春巻きには魚やパイナップルをはさんで巻いて食べま
した。

マンゴウ、ドラゴンフルーツ、ミルクフルーツ、パイナップルなどフルーツの
味も忘れられません。

■ ベトナムの雇用ルール────────────────────────

雇用にあたっては就業規則を整備しなければなりません。10人以上の従業員を
雇用する場合、就業規則を作成し、省・管轄市の労働事務所に登録する必要が
あります。

雇用契約書にも業務種類、労働時間、休憩時間、賃金、契約期間、社会保険料
等の負担割合を所定の様式で明記しなければなりません。

■ ベトナムの雇用契約は3種類──────────────────────

ベトナムの雇用契約は

(1)無期労働契約

(2)12か月以上36か月以下の有期労働契約

(3)12か月未満の季節労働などの有期労働契約

の3種類で、法律で書面による契約締結義務が課されています。

雇用契約書が無い場合は、給与が企業会計上の損金に算入できず、雇用契約書
が大変重要視されています。

■ ベトナムの労働時間────────────────────────

ベトナムは1日8時間、週48時間以内という法定労働時間で、時間外労働は1日4
時間、月間30時間、年間200時間以内です。

通常労働日の時間外割増は150%、週休日・祭日は200%、祝日・有給時は300
%など。

年次有給休暇の未消化分は現金精算も認められています。

■ ベトナムの社会保険────────────────────────

疾病、妊娠・出産、労働災害、退職年金及び死亡に対し給付を行う社会保険制
度があります。社会保険の負担ですが、雇用者が17.5%、被雇用者が8%です。

日本の健康保険のような医療保険もありますが、雇用者の負担割合が3%、
被雇用者のそれは1.5%です。外国人も3か月以上の労働契約に基づき就労する
者は、医療保険に加入しなければなりません。

■ ベトナムの賃金 ────────────────────────

最低賃金の推移をみると、2018年は前年比6%以上のアップ、2019年も5.3%ア
ップが労使で妥結されました。2014年からの5年間で1.5倍に最低賃金が上昇し
ています。

より高い賃金や処遇を求めて転職することは当たり前のお国柄、毎年7-8%の
昇給を考えないと、優秀な人材の雇用の維持は難しいと聞きました。

高い賃金上昇率、少子化が進むベトナムに、長期間にわたって、安い労働力
を期待することはできないだろうと強く感じました。

■ 日本人がベトナムで会社経営をする意味 ───────────────

ホーチミン郊外の日本人の進出企業が入っている工業団地を訪問しました。そ
の中の1社、現地の日本人経営者から伺った、印象に残った話をお伝えします。

「日本で釣具を製造していた会社が、コスト面で大変になり、11年前にベトナ
ムに現地法人を立ち上げたときに、私が経営を任され赴任しました。

釣糸・釣針等は人手のかかる製造業で、現在は50人くらいのベトナム人(全員
女性)を雇用し、主に親会社である日本法人に輸出しています。

ベトナムの人たちは転職することが当たり前ですが、少しずつ信頼関係を築い
て、定着率を上げました。従業員から結婚式に招待されると、交通が不便な衛
生環境の悪い、出身地にも出かけ、出席したことも信頼関係を作ることにつな
がったと思います。出席するととても喜んでもらえました。

商慣習の違いや輸出入にかかる困難も多々ありました。ベトナムは賄賂を要求
されることが珍しくない国ですが、私はその要求を固く拒んで経営してきまし
た。雇用契約書が無かったためにアルバイトの賃金が経費に算入されなかった
というような日本では考えられないことも経験しました。

ようやく軌道に乗り、これからの課題は現地のベトナム人の優秀なスタッフ
に経営を譲ることだと考えています。わが社の場合、日本人が技術を教える時
期は終わったので、完全に現地の方たちの会社にするのが、私の(最後の)務
めだと思っています。

私は60歳のときに親会社の現会長からここでの経営を任されました。その時は
全くの素人でした。この国ではまだまだ日本の技術が必要とされていました。
日本人はもっと海外に関心を持ち、リスクを恐れずに途上国に貢献すべきだと
思います。」