★★ 障害年金を知っていますか ★★
病気やけがで思うように体が動かせないことは誰しもあることですが、その状
態が長い期間続くようなときには、公的な所得保障があります。
■ 重要ポイント────────────────────────
障害年金は“人生のもしも”を支える社会保障制度です。
「障害の状態」にあれば、働いていてももらえます。
■ 障害年金は公的年金────────────────────────
年金というと老齢年金のことがほとんどですが、公的年金には老齢年金、遺族
年金そして障害年金の3種類があります。
■ 仕事をしていても障害年金は受給できる───────────────
仕事を続けながらも障害年金は受けられます。従業員が病気になったり、けが
をしたりして障害が残ったときには知っておきたいのが障害年金です。
■ 障害年金の等級────────────────────────
サラリーマンや公務員が加入している厚生年金に加入している者が受けられ
る障害厚生年金は障害の状態により1~3級まであります。
同じ病名でも程度によりもらえないこともありますし、等級が違うこともあ
ります。
障害者手帳の等級と障害年金の等級は違うものです。障害者手帳を保持して
いるからといって障害年金が受給できるわけではありません。
■ 1級の障害────────────────────────
1級の障害の状態とは「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とす
る病状が、他人の介助を受けなければほとんど自分の用をできない程度」をい
います。病院内の生活なら活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの、
家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるものをいい
ます。
■ 2級の障害────────────────────────
2級の障害の状態とは「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とす
る病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加え
ることを必要とする程度のもの」をいいます。
日常生活が困難で労働によって収入を得ることが難しい状態です。
病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものをいい
ます。家庭内で軽食作り、下着程度の洗濯等はできるが、それ以上の活動はで
きないもの又は行ってはいけないもので、活動範囲がおおむね家屋内に限られ
るものをいいます。
■ 3級の障害 ────────────────────────
労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする
程度のものをいいます。
■ 障害年金を受給できる障害の種類と状態────────────────
日常生活や仕事に支障がある病気やけがとは主に次のようなものです。
(1)外部障害 眼、聴覚、肢体(手足など)の障害
(2)精神障害 統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発
達障害など
(3)内部障害 呼吸器疾患、心疾患、肝疾患、腎疾患、血液・造血器疾患、
糖尿病、がんなど
※ 病名だけで障害年金が認定されるわけではありません。
■ 初診日と障害認定日────────────────────────
年金を受給するには「初診日」と「障害認定日」が重要です。
初診日とは障害の原因となった病気やけがについて、はじめて医師又は歯科医
師の診療を受けた日のことです。会社の健康診断を受診した日が初診日になる
こともあります。
障害厚生年金を受給するには厚生年金保険の被保険者である間に、初診日が
あることが第1の要件です。
次に障害認定日に障害の状態が障害等級表に定める1~3級のいずれかに該
当していることが第2の要件です。
障害認定日とは障害の状態を定める日のことですが、その障害の原因となっ
た病気やけがについての初診日から1年6カ月を過ぎた日、又は1年6カ月以内に
その病気やけがが治った場合(症状が固定した場合)はその日のことです。
■ 特殊な認定日 ────────────────────────
心臓ペースメーカー又はICD(植込み型除細動器)や人工弁を装着したときは
装着日、人工透析療法を受けるようになったときは療養開始から3カ月経過し
た日が認定日になるなどの特例があります。
■ 障害認定日後に障害が悪化したとき ─────────────────
初診日から何年もたってから症状が悪化し、障害が重くなった場合にも障害年
金を請求することができます。事後重症といいます。
■ 障害厚生年金の額 ────────────────────────
1級と2級の障害厚生年金は障害基礎年金(定額)に加えて障害厚生年金が支給
されます。
1級の障害厚生年金額は 障害基礎年金975,125+報酬比例の年金額×1.25
2級の障害厚生年金額は 障害基礎年金780,100+報酬比例の年金額
本人の状況により子の加算や配偶者の加給年金が加算されます。
3級の障害厚生年金は報酬比例の年金額ですが、最低保証額585,100円です。
3級より軽症の時は障害手当金(一時金)を受け取ることができる場合があり
ます。
■ 労災との併給 ────────────────────────
仕事中や通勤途上の事故でけがをしてしまったような場合、労災保険の障害
(補償)年金を受けることができます。労災保険の給付を受けていても障害年
金を請求することができます。
障害厚生年金と労災保険の障害(補償)年金は併給できますが、労災保険の
障害(補償)年金は一部減額されます。
■ 傷病手当金と障害年金────────────────────────
病気のため長期に休業している従業員は傷病手当金を申請・受給しているこ
とが多いと思います。傷病手当金の受給期間が終わるころ障害の状態にあれば、
障害年金の受給をお勧めいただきたいと思います。
■ 就労との両立も────────────────────────
傷病手当金がもらえなくなる時に障害年金3級を受給できるようになったの
で、短時間正社員として職場復帰。障害年金があるので、生活の不安がなくな
ったなど、障害年金の仕組みを知ると就労との両立がしやすくなります。
※ 障害年金の請求には保険料の納付要件や65歳前の初診日かなどの細か
な要件もありますので、お問い合わせください。