雇用調整助成金の拡充

★★ 雇用調整助成金が大幅に拡充 ★★
新型コロナウイルス感染症の影響で、生産量や売上高が減少しても、従業員
を解雇せず、休業などをさせて雇用を維持した場合、特例の雇用調整助成金が
受給できます。

4月1日から6月30日までの間、特例措置をさらに拡大すると発表されま
した。(3月28日)

■ 重要ポイント ───────────────────────

感染拡大防止のため、雇用調整助成金の特例が設けられていましたが、さらに
4月1日から6月30日までの間を緊急対応期間とし、さらなる要件の緩和や
助成率のアップの措置がとられます。

■ 雇用調整助成金を受けられるかどうか ─────────────

雇用調整助成金は事業主が負担している雇用保険を財源としています。

雇用調整助成金を受けるためには以下の要件があります。

(1)雇用保険の適用事業所であること

(2)労働者を休業させ、法令違反のない休業手当を支払うこと

(3)休業手当の支払いについて労働者の同意があること

(4)生産量又は売上げが減少していること

■ 雇用保険の被保険者でなくとも対象とする緊急対応期間の措置 ─────

雇用調整助成金の休業の対象者は従来、雇用保険の被保険者に限られていまし
た。

緊急対応期間については雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成金の対象
に含めるとしています。

■ 休業と休業手当 ───────────────────────

助成金の目的は雇用の維持です。

業務量の減少で職場を休んでもらう人に、労働基準法第26条の規定により平均
賃金の6割以上を支払わなければなりません。

平均賃金とは、「これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間に、その労
働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額」をいい
ます。
総日数(=暦日数)で除することに注意が必要です。所定労働日数で除するの
ではありません。

休業の日については給与が減額となることについて労働者の理解を得なければ
なりません。

■ 生産量又は売上高の減少 ─────────────────────

雇用調整助成金は生産量又は売上高などの事業活動を示す指標について、最近
3か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上低下していることという要件
があります。

コロナの特例措置で、生産指標の確認期間が3か月から1か月に短縮されてい
ます。

さらに4月からの緊急対応期間については、1か月5%以上低下に緩和する措置
がとられます。

■ 助成率のアップ ───────────────────────

雇用調整助成金はいくらもらえるのでしょう。

助成額は、前年度の雇用保険の保険料の算定基礎となる賃金総額等から算定さ
れる平均賃金額に休業手当支払率を掛け、1日当たりの助成額単価が決められ
ます。

全従業員の平均的な給与をもらっている人の賃金日額をベースに会社ごとに定
めた休業手当支給率(平均賃金の6割以上)を掛け、さらに助成率を掛けます。
この金額は1人が1日休業した場合の助成額です。
この金額に休業の延べ日数を掛けた額が助成金の額となります。

今まで助成率は、中小企業が3分の2、大企業が2分の1でした。
緊急対応期間については4分の5(中小)、3分の2(大企業)、さらに解雇等を
行わない場合は10分の9(中小)、4分の3(大企業)にアップされます。

■ 計画届の事後提出は6月30日まで ──────────────────

通常の雇用調整助成金はまず休業の計画を立て、労使間の協定をし、計画届を
労働局の助成金窓口で受け付けてもらってから実際に休業を実施し、その後支
給申請という流れになります。助成金が支給されるのは支給申請からおおむね
2か月程度後です。
(実際の休業から支給までは数か月かかります)

今回は特例で1月24日から5月31日までは計画届の事後提出を認める措置がとら
れていました。
緊急対応期間については6月30日までの事後提出期限の延長が認められます。

■ 労使協定は重要 ───────────────────────

助成金は、雇用調整(休業・教育訓練・出向)の実施について、労使間で協定
し、その決定に従って雇用調整をすることを支給要件としています。労使協定
は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、ない場
合には労働者の過半数を代表する者との間で書面により行います。

労使協定には最低限以下のことを定めます。(休業の場合)

(1)休業の実施予定時期・日数

(2)休業の時間数

(3)対象となる労働者の範囲及び人数

(4)休業手当額の算定基準

休業手当の算定基準は、平均賃金の60%を下回らないこと。

■ 初回の計画時に必要な書類(休業の場合 ──────────────

計画届や申出書の様式は厚生労働省HPからダウンロードできます。
初回の計画時に必要な書類は以下です。

(1)休業等実施計画届

(2)事業活動の状況に関する申出書

(3)労使協定書、労働者代表確認書類

(4)事業所の状況に関する書類
(生産指標のわかる書類。所定労働日、時間や賃金制度等のわかる書類)

■ 受給手続き ───────────────────────

計画届は判定基礎期間ごとに提出します。判定基礎期間とは計画や支給申請の
単位となる期間で、賃金締め切り期間と同じです。

事後提出しない休業等については初回の計画届を、雇用調整を開始する日の2
週間まえをめどに、2回目以降については、雇用調整を開始する日の前日まで
に提出することが求められます。

休業等の場合の支給申請期間は判定基礎期間終了後、2か月以内です。
出勤簿・賃金台帳も支給申請には重要な確認書類です。

※ 申請に当たっては、最新情報と要件の詳細をご確認ください。