試用期間って何?

試用期間だから解雇しても問題ない。お試し期間なのだから、辞めてもらってもかまわない。そんなふうに思ってはいらっしゃいませんか。

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 重要ポイント

試用期間中でも14日を過ぎたら解雇予告手当を支払わなければならない。 適正を見極めるためには、期間の定めのある雇用契約をする方法もある。

 試用期間とは

正式な採用をする前の「当社従業員として適格であるか否かを判定」する期間です。 正社員として長期に雇用しましよう。ただ、その前に、試用期間を設け、本採用前のテスト期間としますよ、というものです。 本人の勤務態度、能力、資質、技能、性格、知識、健康状態等を観察、調査、判断して正式に本採用するかどうかを決定するための期間です。 この間に従業員として適格ではないとされた場合には、本採用しません、ということで解約権留保期間ともいわれます。

 試用期間の長さ

お試し期間、テスト期間なのですから、いつまでもというわけにはいきません。 3ヶ月とか6ヶ月とかが一般的です。試用期間の地位や身分保障が不安定であることを考え、最長でも1年以内とすべきです。 1年以内の期間で会社が自由に定めてよい、これが試用期間です。

 試用期間の始まりとは

4月1日の入社日から3ヶ月の自宅待機を命じたときの試用期間は4月1日から始まるのでしょうか?試用期間の始まりは現実に就労した日、この場合は7月1日となります。

 試用期間でも解雇は解雇

本採用拒否は解雇です。試用期間中であっても、雇用契約はなされているのですから、解雇は解雇です。 試用期間中の解雇は、本採用後の社員の解雇と比べた場合に、より広い範囲の解雇事由が認められているだけです。 試用期間中でも、解雇であるということを抑えておくことが重要です。

 14日に注意

 採用後14日を超えた場合には、「試みの試用期間中の者」でも労働基準法上解雇予告の適用があります。  少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金の解雇予告手当を支払わなければなりません。(労基法第21条) 採用してみたものの、長期に雇用していくことは難しい人物だと思ったのであれば、採用から14日(暦日)以内に、「あなたにはもっとふさわしい会社があるのでは・・・」といってみるべきです。試用期間が終わるのをまつことはありません。

 本採用拒否ができるときとは

本採用よりも解雇自由として広く認められている事項は以下のようになります。

  • 従業員として適格性がない場合
  • 勤務成績が不良の場合
  • 言動が不適切な場合
  • 同僚との協調性がない場合
  • 経歴詐称があった場合

 試用期間中にすべきこと

試用期間は教育期間でもあります。 適格性をみるためにも、社員教育は重要です。教育で矯正できる言動や癖をそのまま放置して、いきなり解雇では、試用期間中でも正当な解雇自由として認められないことになります。

 ダメな試用期間の規定例

『採用後6ヶ月間は試用期間とし、試用期間中に従業員として不適当と認めた者は、その期間中にいつでも解雇する』 試用期間中であっても自由にいつでも解雇できるのではありません。このような規定は問題です。

 よい試用期間規定例

新たに採用された従業員は、6ヶ月を試用期間とする。 本採用は試用期間中の勤務態度、健康状態、発揮された能力等を総合的に勘案し、試用期間満了時までに決定する。 試用期間中または試用期間満了の際、本採用することが不適当と認めた者については、第○条の手続きに従って解雇する。但し、採用後14日を経過していない場合は、解雇予告手当の支払いは行わず即時解雇する。

 本採用になったらそれなりのけじめを・・・

本採用になった月から退職金制度に加入するとしている会社もあります。 本採用になって給与を上げて処遇をよくする、たとえば、試用期間中は時給で本採用から月給とするということでも良いと思います。 「○○さん、入社して6ヶ月経ったね。今日から本採用。先輩の厳しい指導や、外部の新人研修にも出て、ごく基礎的なマナーや知識は身につけてくれたと思う。今月から給与は時給から月給にします。給与は辞令のとおりとします。退職金制度にも今月から加入します。6ヶ月経ったので、年次有給休暇もとることができますよ。今後に期待しています!」たとえば、試用期間を6ヶ月として、その翌日にこんな話をしてみてはいかがでしょう。また、本人からは、入社してから経験したことの素直な感想、困っていること、今後の自分の課題として考えていることなどをヒアリングし、新人社員とのつながりを強めることも大切です。

 期間を定めた雇用

長期に働いてくれる従業員かどうか見極めがたい場合に、3ヶ月といった期間を定めた契約をする方法もあります。契約期間を経過したときに改めて期間の定めのない雇用契約をすればよいのです。 3ヶ月の雇用契約をし、3ヶ月で雇用契約を終わらせた場合、解雇ではありません。 ただし、3ヶ月の雇用契約の途中解約は難しいとお考えください。