残業代が 5割増に

法改正で、60時間を超える残業には、5割増の残業代を支払わなければならなくなります。当面は大企業のみですが、今から対策を!

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 残業代が5割増になる

 残業代といえば2割5分増があたりまえでしたが、来年4月から 残業時間が増えるにつれ、3段階で高い残業代を支払わなければならなくなります。

時間外労働(時間数) 割増賃金率 取り扱い
限度時間まで 2割5分以上 義務(必ず)
限度時間超60時間まで 2割5分超 努力義務
60時間超 5割以上 義務(必ず)

 労働基準法の改正で

 「延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」
昭和21年以来の【2割5分】が引き上げられるのは、労働基準法第37条に【60時間以上、5割以上】の数字が載せられるからです。

 60時間を超えたら5割増

 当面は大企業だけです。中小企業については「3年後に改めて検討する」ということで 猶予されていますが、罰則付きの労基法が改正されたことは重く受け止めておく必要があります。

 限度時間を超えた残業には2割5分「超」で・・・

限度時間(※後記「人事労務の素朴な疑問」←「1か月:45時間」)を超える残業の割増率は2割5分「を超える」よう努めなければ」なりません。
法改正のこの部分は中小企業にも適用があります。努力義務で罰則はありませんが、過労死防止の健康管理の観点から、「2割5分ちょうど」の36協定を持って行くとしっかり「指導」されることになります。

 特別条項付36協定はどう変わる?

 36協定の「特別条項」とは、時間外労働が限度時間内に収まらないときのためのエスケープ条項です。
その構成要素は、①として(例えば)「臨時の受注、納期の変更、トラブルの発生等特別の事情のあるときは」②「労働者の過半数を代表する者と協議の上」③「1年のうち6回以内に限り」④「1ヶ月についての延長時間を80時間まで延長することができる」など、当該条文が安易に発動されないための条件(①~③)と、それをクリアした場合に延長できる労働時間の上限(④)を労使で話し合い、条文にまとめて36協定に追記しています。
平成22年4月1日以降はこれら(①~③)に加え、【労使で協定した2割5分を超える割増率】も記載しておかなければならなくなります。

 「5割増」に代えて 【代替休暇】の仕組みができます。

 残業代を 5割増で支払わなくても、有給休暇を与えればそれでもいいですよ、ということですが、5割のうち2割5分の割増賃金分は払わなければなりません。残りの2割5分を「有給休暇の付与で代替することができる」というものです。

 「代替休暇」の具体例

 「1か月76時間の時間外労働」で、 月60時間を超える時間は16時間です。
16時間×0.25=4時間なので、4時間分の休暇を与えれば、5割でなく2割5分増しの残業代ですみます。
代替休暇は2か月以内(時間外労働が1ヶ月について60時間を超えた月の末日の翌日から2か月以内)に与えなければなりません。

 【残業は限度時間以内に抑える】

 「月45時間」(限度時間)以内であれば、残業代はこれからも2割5部増でいいのです。
今のうちから、月45時間をこえる残業はさせない体制作りに真剣に取り組みましょう。

その他の情報

 雇用保険制度の改正~平成21年3月31日から

会社手続きに関係する主なものとして

    1. 短時間就労者や派遣労働者の雇用保険加入を拡大

週の労働時間が20時間以上で6ヶ月以上の雇用の見込みであれば、雇用保険の手続きが必要になります(今までは1年以上雇用の見込みで加入でした)。

    1. 雇用保険料率の引き下げ

従業員から控除する雇用保険は4月から1000分の4に。事業主負担分は1000分の7になります。ただし、今年度限りです。
労働保険の年度更新の申告納付は今年から 6月1日から7月10日の間となります。

    1. 育児休業給付の統合(平成22年4月より施行)

育児休業をとった場合、育児休業給付は休業中と復帰後6箇月経ったときとに分けて支給されていますが、平成22年4月以降は全額が休業期間中に支給されます。(復帰後の手続きがなくなります)

 シリーズ 年 金 ~ 国民年金の納付率最低に(2009年4月27日日本経済新聞)~

配偶者を扶養している厚生年金保険に入っている人が退職すると、本人も配偶者も国民年金に加入しなければならないことになる。
20歳以上60歳未満の被扶養配偶者は第3号被保険者となり、国民年金を納めなくても良いが、配偶者が離職した場合は、本人にも納付義務が生じる。
離職した本人と配偶者二人分の保険料、1か月29,400円(14,700円の2倍)。未納は増え続けることになりそうだ。

 人事労務の素朴な疑問 ~ 時間外労働の限度 ~

期間 限度時間
一般労働者 変形労働
1週間 15時間 14時間
2週間 27時間 25時間
4週間 43時間 40時間
1か月 45時間 42時間
2か月 81時間 75時間
3ヶ月 120時間 110時間
1年間 360時間 320時間

残業には限度時間が決められています
かつては「青天井」ともいわれていた36協定ですが、一昔前から、厚生労働大臣が告示する「一定期間についての延長時間の限度」による適正化指導が強力に行われるようになり、期間ごとに右のとおり示されている上限時間を超える36協定は、建設業や自動車運転などの一部の業務を除き、すんなりとは監督署に受け付けてもらえなくなっています。

 業務日誌より ~ 企業研修 ~

『従業員に社会保険のしくみや、会社のルールについて話をしてもらえないでしょうか?』
研修風景 そんな会社の要望を受けて、先日、労働時間・社会保険のしくみについて従業員全員を対象にお話しました。
 1年単位の変形労働時間制とは?残業をするときの法律とは?など労働時間について話した。「新入社員のかたは初めての給料ですね。思ったより少ない手取りだった?それは社会保険料が・・・」
社会保険・労働保険は助け合いのしくみ、もし病気で長く休まなければならないときは傷病手当金・・・と社会保険の話もした。 的を射た質問も頂いた。記憶に残る研修であればと願っている