★★ コロナ対応の施策あれこれ ★★
新型コロナウイルス感染症の雇用への影響を考慮し、社会保険の特例改定や助
成金の拡充、創設等が行われています。
■ 重要ポイント ───────────────────────
報酬が下がった労働者が一定の要件に該当すれば(社会保険料の特例改定)、
社会保険料を早めに下げることができるようになりました。
各種助成金も使いにくさが残るとはいえ、コロナウイルスの影響を緩和しよう
と見直しや創設が行われています。
■ 社会保険料の特例改定 ───────────────────────
新型コロナウイルス感染症の影響で休業し、報酬が著しく下がった者がいる場
合、特例により翌月から社会保険料を下げることができるようになりました。
通常は賃金が下がっても4か月目に改定(随時改定)で、下がった報酬に従前
の社会保険料という重い負担が続く仕組みです。特例では、報酬が2等級以上
下がった場合、下がった翌月に改定が可能となります。
次の3つの要件に当てはまることが要件です。
(1)事業主が新型コロナウイルス感染症の影響により休業(時間単位を含
む)させたことにより、令和2年4月から7月までの間に、報酬が著しく低下し
た月が生じた方
(2)著しく報酬が低下した月に支払われた報酬の総額(1か月分)が、既に設
定されている標準報酬月額に比べて、2等級以上下がった方
(3)特例による改定を行うことについて、本人が書面により同意している方
※ 被保険者本人の十分な理解に基づく事前の同意が必要となります。
■ 特例改定の注意点 ───────────────────────
社会保険の特例改定を行うためには、月額変更届(特例改定用)に申立書を添
付し、管轄の年金事務所に申請します。年金事務所で受付、審査等を行います。
事務センターに郵送しないようにご注意ください。
特例改定の届出を行った場合でも、通常の算定基礎届の提出は必要です。
算定基礎届の提出期限はいつも通りの7月10日です。(労働保険の年度更新期
間については8月31日までに延長されていますが。)
■ 雇用調整助成金は上限15,000円に────────────────────
6月12日、待ちに待った書式の変更も行われ、雇用調整助成金の1日当たりの
上限額が15,000円に引き上げられました。解雇を行わずに雇用の維持に努めた
場合は100%の助成率となりました。緊急対応期間も9月30日まで延長されまし
た。
申請から振込みまで3週間くらいかかりますという案内ですが、18日後に
振込みがあった事例があります。事務処理に当たる人員体制が強化され、振
り込みまでの期間が短縮されています。
■ 小学校休業等対応助成金の上限は15,000円に───────────────
新型コロナウイルス感染症の対応のため、臨時休業等をした小学校等に通う子
どもの世話を保護者として行うことが必要となった労働者に対し、有給(賃金
全額支給)の休暇を取得させた事業主に助成金が支給されます。上限が15,000
円に上がり、申請期間も令和2年12月28日までに延長されました。
年次有給休暇や欠勤、勤務時間短縮を、事後的に特別休暇に振り替えた場合も、
対象になります。
申請書は全国4か所に設けられた学校等休業助成金・支援金受付センターに郵
送します。
■ 母性健康管理措置による休暇取得支援助成金────────────────
妊娠中の女性労働者の感染症の不安を和らげようと創設された助成金です。
妊娠中の女性労働者が、保健指導・健康診査を受けた結果、その作業などにお
ける新型コロナウイルス感染症への感染のおそれに関する心理的なストレスが
母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、医師や助産師の指導により、休
業が必要とされた場合に取得できる有給の休暇制度を整備し、この休暇を5日
以上取得させた事業主は労働者一人当たり25万円の助成金が受給できます。
有給の休暇制度は年次有給休暇とは別のものである必要があり、年次有給休暇
の賃金相当額の6割以上が支払われるものをいいます。
労働者に周知すること、令和2年5月7日から令和3年1月31日までの間に5日以上
この休暇を取得させることが助成金の要件です。
この助成金を活用して、妊娠中の女性労働者が休みやすい環境づくりに努め
ることが期待されています。
■ 特例の介護離職防止支援の助成金────────────────────
(両立支援等助成金 介護離職防止支援コース)
新型コロナウイルス感染症への対応として、介護のための有給の休暇制度を設
け、ご家族の介護を行う労働者が休みやすい環境を整備した中小事業主に、助
成金(休業の長さにより20万円か35万円)が支給されます。
両立支援等助成金の介護離職防止支援コースの特例として新設されたものです。
新型コロナウイルス感染症による休業等で介護サービスを受けられなくなった
家族がいたり、利用を控える家族がいたりする労働者が介護離職せずに働き続
けられるようにという趣旨です。
■ 健康診断の実施の延長───────────────────────
春に行う予定だった定期健康診断を延期したという会社は少なくないと思いま
す。
令和2年6月までに実施が求められる健康診断について延期することは差し支え
ありません。10月末までのできるだけ早期に実施すればよいことになっていま
す。
■ 求職者には給付日数の延長の特例が───────────────────
「業務量の減少で有期契約社員の雇止めを考えざるを得ない・・・」
雇用保険の基本手当の給付日数の延長に関する特例が設けられました。令和2
年6月12日以後に基本手当の所定給付日数を受け終わる方については最高で60
日、給付日数が延長されます。
■ 熱中症予防とコロナウイルス感染症予防──────────────────
熱中症は業務災害になることがあり、厚生労働省は毎年熱中症対策を呼び掛け
ています。
「熱中症を防ぐためにマスクをはずしましょう」「マスク着用は熱中症のリス
クを高めます」今年は例年と違う熱中症予防のPRポスターが公開されました。
こまめな水分補給、エアコン使用中であってもこまめな換気も重要です。
ウイルス対策をとりながら熱中症にかからないように気を付けましょう。